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AI検索で自社が引用されない質問の見つけ方【Bingの一覧で探す】
広報担当者
『AIの回答に、同じ業界の他社のページばかり出てきます。うちが答えられる話なのに、自社が出ていない質問はどこを見れば分かりますか…』
こういった疑問に答えます。
本記事では、自社ブログや説明動画の「次に何を作るか」を決めている広報・マーケティングのご担当者に向けて書いています。Microsoftが2026年10月13日に公開した発表で、Bing Webmaster Tools に Topics Portfolio というタブが増えました。その中に並ぶ Opportunity Queries を、企画会議に持っていける形にする話です。
先に結論を出します。この一覧は「次に書く記事のリスト」ではありません。自社がまだ答えていない質問の候補でしかないので、答えるページが有るか無いかで3つに振り分けてから、企画にするものを決めます。
英語の解説を何本も当たりましたが、どれも「機能の紹介」「指標の意味」「穴を見つけよう」の3つで終わっています。一覧を開いたあと、どの質問を記事にして、どれを捨てるのかという工程が書かれていません。そこを書きます。
この記事の要点
- 一覧は企画リストではなく、答えていない質問の候補
- 答えるページが有るか無いかで3つに振り分ける
- 日本の会社は、数字より先に一覧の言語を見る
先に整理:この記事はどこの話か
このブログではAI検索まわりの記事を何本か書いているので、今日の守備範囲を先に示します。
| 記事 | 扱っている論点 |
|---|---|
| BingのAI Performanceで見るのは引用の回数ではありません | レポートの開き方と、引用の割合の読み方。今日の記事の前提 |
| 日本の検索エンジンシェア2026【パソコンはGoogleとBingが互角】 | そもそも日本の会社がBingの管理画面を見る意味があるのか |
| AI検索に自社が出ない原因【まず検索の生成AIを確認する】 | ページはあるのに引用されないときの、設定側の確認 |
| YouTubeのコメント検索で顧客の質問を抜き出す方法 | 管理画面に頼らず、手元の質問から企画を出す方法 |
| YouTube Studioのアイデアタブの使い方【過去の動画から案を出す】 | AIが出した案を、人が先に絞るという同じ作法 |
| 本記事 | 一覧に出た質問を、新規・改善・捨てるの3つに振り分ける |
レポートの開き方そのものは表の1本目の記事で書いたので、この記事では繰り返しません。
結論:振り分けは3つです
一覧を開いたら、質問を1件ずつこの3つに割ります。
① 答えるページが自社に無い → 新しく記事か動画を作る
② 答えるページはあるのに引用されない → 新規を作らず、既存を直す
③ 捨てる → 競合のブランド名・自社の商いの外・既存記事と同じ問い
順番に意味があります。先に③を落とし、残りを①と②に分けます。①と②を取り違えないことが、この作業でいちばん効くところです。
②を①と間違えると、同じ話を書いたページが2枚に増えるだけで、引用は増えません。自社サイトの中で似たページが競合し、どちらも中途半端な状態になります。
なぜ振り分けが必要なのかというと、Microsoftの発表で、この一覧が汎用のキーワードリストではなく、自社のAI検索上の存在と活動から作られていると説明されているからです。つまり中身は「自社の周辺にある質問」であって、「自社が書くべき質問」ではありません。選別は人の側の仕事として残されています。
10月13日に増えたのは、タブ1つです
何が増えたのかを正確にしておきます。
Bing Webmaster Tools の AI Performance レポートに、Topics Portfolio というタブが追加されました。既存の Citations & Pages の隣に並びます。ベータでの提供で、いつベータが終わるのかは公開されていません。
やっていることは、AIの回答で自社が引用されたときの質問を、トピック(話題のかたまり)に束ねる処理です。これまで1件ずつの質問として並んでいたものが、「太陽光発電の補助金」「蓄電池の寿命」のような単位でまとまります。
ここで注意が1つあります。今回触るのはこのタブだけです。引用の割合や期間の比較、質問の意図の分類は以前からある機能で、表の1本目の記事の担当です。新しいタブを見にいったついでにレポート全体を見て回ると、何が新しくて何が前からあるのか分からなくなります。
なお、画面の項目名は発表時点の英語の名前で書いています。日本語の画面でどう表示されるかは分かりません。公開後に自社のアカウントで画面を確認して、スクリーンショットを追記します。
一覧に出る数字は3つ。どれもおおよその数です
トピックの一覧には、1行ごとに3つの数字が並びます。
① Topic Size — そのトピックの質問で、全サイト合計の引用数の推定
② Sites Cited — そのトピックの質問で引用されているサイト数のおおよその数
③ Queries — そのトピックに入っている質問数のおおよその数
Microsoftは、トピックの分類も数値もおおよそのもので、方向性を見るためのものだと説明しています。前月比や増減率を語る精度ではありません。
いちばん誤解されるのが①です。Topic Size が数えているのは引用の回数で、検索された回数でも、人の数でもありません。検索ボリュームとして読むと、会議の結論が丸ごとずれます。Bingのレポートの記事でも書きましたが、引用はアクセス数ではなく、AIの回答に素材として使われた回数です。
Sites Cited の読み方は、まだ定まっていません
ここは英語の解説で意見が割れているので、そのまま書きます。
「Topic Size が需要で、Sites Cited が混雑度。だから大きいのに引用サイトが少ないトピックが狙い目」という読み方をしている解説があります。一方で、「Sites Cited はそのトピックに関わるサイトの広がりを示すだけで、競争の集中度ではない」という反論もあります。
Microsoftがどちらの読み方を示しているかは確認できていません。公式の説明はおおよその数だというところまでです。
だから僕たちは、この列だけで優先順位を決めません。数字が小さいことを「空いている」と読むのは解釈で、事実ではありません。順番を決めるのは、次に出てくる振り分けのほうです。数字は、同じ振り分けに入った質問が20件あったときに、どれから着手するかの参考にする程度で足ります。
機会の質問は、2か所に出ます
Opportunity Queries は、同じトピックの中で他のサイトは引用されているのに、自社は引用されていない質問です。引用の量は範囲で表示され、正確な件数は出ません。これは意図してそうなっています。
出てくる場所が2か所あり、使い分けると作業が速くなります。
① トピックの一覧の下にある、ポートフォリオ全体の Top Opportunity Queries
② 個別のトピックを開いたときに出る、そのトピック内の Opportunity Queries の表
①は「どのトピックから手を付けるか」を決めるときに見ます。全体を見渡して、自社の商いに近いかたまりを1つか2つ選びます。②は「選んだトピックの中で、どの質問を拾うか」を決めるときに見ます。
最初から②に入ると、たまたま開いたトピックの中だけで企画を決めることになります。①で当たりを付けてから②に下りる順番を守ってください。
トピックを開くと、Topic Size・そのトピックでの自社の引用数・質問数の3つが上に出て、その下に自社が既に引用されている質問の表と、機会の質問の表が並びます。前者は以前からあるレポートで見られるデータと同じものです。見るのは後者だけで足ります。
振り分け①:答えるページが無い。ここだけが新規の対象です
機会の質問を1件読んで、自社サイトにその質問へ正面から答えたページが無いなら、①です。新しく記事か動画を作る候補になります。
ただし、①に入った時点で制作が決まるわけではありません。もう1つ関門を置きます。その質問に、自社が一次情報で答えられるかどうかです。
答えられるのは、実際にやったこと、自社で測ったこと、現場で見てきたことがある質問です。調べれば誰でも書ける質問は、①に入っていても後回しにします。AIの回答で引用されるかどうかは別の話として、調べ書きのページを1枚増やしても、会社の資産にはなりません。
ここで動画が向く質問もあります。手順や判断の様子を見せたほうが早い質問、担当者が営業で毎回同じ説明をしている質問です。記事で足りるのか、撮ったほうが伝わるのかは、質問を読んだ時点でだいたい決まります。
振り分け②:ページはあるのに引用されない。作らずに直します
いちばん取り違えが起きるのが②です。
質問を読んで「これはうちのあのページに書いてある」と思ったら、新規を作りません。その質問が機会として並んでいるのは、ページが無いからではなく、ページがAIの回答に使われていないからです。
②に入ったときの確認は、だいたいこの順番です。
① そのページで、質問の言い回しに正面から答えているか。答えが段落の奥に埋まっていないか
② 結論が先に書かれているか。前提の説明が長く続いていないか
③ 技術的に読まれない状態になっていないか
③は意外と起きます。クロールの設定やAIの学習に関する設定で、自分から対象外にしている場合があります。これは別の記事で扱ったので、心当たりがあれば上の表から「AI検索に自社が出ない原因」を開いてください。
②でやるのは、既存ページの書き直しと、質問の言い回しに合わせた見出しの追加です。1枚のページを直すほうが、新しい1枚を作るより早く終わります。制作の工数も減ります。
振り分け③:捨てていい3種類
一覧を全部こなそうとすると終わりません。次の3つは読んだ時点で落とします。
① 競合のブランド名が入っている質問
② 自社の商いの外にある質問
③ 既存記事と同じ問いを言い換えただけの質問
①はMicrosoft自身が注意として挙げています。発表の例では、ランニングシューズのトピックで、ある靴の販売サイトに競合ブランドの商品名が機会として並ぶ、という形が示されています。扱っていない商品名の質問に答えるページを作る意味はありません。競合のブランド名を除くフィルタは用意されていないので、人が目で落とします。
②は、自社が答えると嘘になる質問です。トピックの束ね方はAIが自動で行っているので、トピック名そのものが実態とずれることもあります。トピック名で判断せず、中の質問を読んで決めてください。
③は社内で起きる重複です。言い回しが違うだけの質問に新しいページを当てると、②で書いた共食いが起きます。
残った質問を、企画票の6項目に落とす
振り分けが終わったら、残った質問を1件1行の表にします。項目は6つで足ります。
① 質問 — 一覧に出ていた言い回しをそのまま書く
② 想定する顧客 — 誰がこれを聞くのか
③ 自社が答えられる根拠 — 実際にやったこと、測ったこと
④ 既存のURL — ②の振り分けなら、直す対象のページ
⑤ 新規か改善か — ①なら新規、②なら改善
⑥ 再確認すること — 書く前に調べ直す必要があるもの
③が空欄の行は、企画会議に出しません。根拠が無い質問は、調べ書きのページになるだけです。①の言い回しをそのまま残すのは、書くときに「自分の言葉」へ置き換わって、質問から離れていくのを防ぐためです。
この表が1枚あると、会議は「どれを作るか」の話だけで終わります。一覧の画面を会議に持ち込むと、指標の読み方の議論で時間が溶けます。
日本の会社が最初に見るのは、一覧の言語です
ここが日本の読者にいちばん関係するところです。
一覧を開いて最初に見るのは数字ではなく、質問が何語で書かれているかです。
ポーランドのSEO担当者が、自分のアカウントにある51サイトでこの機能を確認した検証レポートを公開しています。引用のあった33サイトのうち、トピックが出たのは21サイト。機会の質問は合計972件で、そのうちポーランド語の質問は4件だけでした。レポートの結論は、一覧はサイトには合っているが、言語と市場には合っていないというものです。
条件を付けます。これは第三者が1アカウントで確認した結果で、Microsoftの公式見解ではありません。ポーランド語のサイトでの結果なので、日本語で同じ比率になる証拠もありません。
それでも、一覧を開いたら最初に言語を見る理由にはなります。英語の質問が大半を占めていたら、そこから選んだ企画は日本の顧客の疑問ではありません。見るべきは、日本語で書かれた質問だけです。数が少なければ、この機能は今回は使えなかったと判断して、手元の質問から企画を出す方法に戻ります。
タブが出てこない会社は、故障でも対策不足でもありません
自社の画面にこのタブや中身が出てこない会社もあります。
Microsoftは、サイトの存在感や周辺の活動が少なすぎるトピックは表示されないと説明しています。ヘルプ側にも、引用が極端に少ないとダッシュボードに出ないことがあり、それはペナルティを意味しないと書かれています。
ここを「対策が足りないから出ない」と読まないでください。出ないのはデータ量の条件です。慌てて記事を量産しても、この画面が埋まるわけではありません。
では、出なかった会社は何をするかというと、答えは昔から変わりません。手元にある質問から企画します。商談で毎回聞かれること、問い合わせフォームに届く文面、動画のコメント欄に来る疑問です。この順番で言えば、管理画面は3番目以降の手段で、1番目は目の前の顧客です。コメント欄から質問を抜き出す手順は上の表の記事に書きました。
『じゃあ、見なくていいんじゃないですか』
ここまで条件が多いと、そう思う方もいます。実際、数字の精度はおおよそで、一覧には競合の商品名が混じり、言語も合っているとは限りません。報告書に貼れる数字は1つもありません。
使いどころは報告書ではなく、企画会議の前です。
企画が止まる理由は、だいたい「ネタが出ない」ではなく「社内の誰も、どのネタが外から求められているか言い切れない」ことです。この一覧は、自社の外側で実際に投げられている質問の形を見せてくれます。振り分けた結果が3件しか残らなくても、その3件は社内の思い込みから出たネタではありません。
もう1つ、この機能で見るものを間違えないでください。AI Performance が対象にしているのは Microsoft Copilot と Bing の要約、それと一部の提携先です。他の生成AIサービスのデータは入りません。ここを押さえずに見ると、AI検索全体の穴が分かったと読んでしまいます。対象範囲の話はBingのAI Performanceで見るのは引用の回数ではありませんで書きました。
この機能を見なくていい会社
正直なところ、全部の会社が見るものではありません。次に当てはまるなら、今回は飛ばしてください。
① 公開している記事やページが数枚しかない会社。振り分け②の判断材料が無く、全部が①に見えます
② 商圏が地域に限られていて、顧客が目の前にいる会社。一覧より問い合わせの文面のほうが近い
③ 今月の企画が既に決まっていて、作る手が埋まっている会社。候補を増やしても作れません
③は意外と大事です。候補が増えると仕事が進んだ気分になりますが、動いたのは候補の数だけです。企画の在庫が余っている会社が、さらに候補を集める必要はありません。
まとめ
最後に整理します。
① 機会の質問の一覧は、次に書く記事のリストではなく候補
② 振り分けは3つ。新規に作る/既存を直す/捨てる
③ ②を①と間違えると、同じ話のページが2枚に増えるだけ
④ 一覧に出る3つの数字は、どれもおおよその数。前月比を語らない
⑤ Sites Cited を混雑度と読むかは意見が割れている。この列だけで順番を決めない
⑥ 機会の質問は2か所にある。全体の上位で当たりを付け、トピックの中で拾う
⑦ 競合のブランド名が混じるのはMicrosoft自身が挙げている注意点
⑧ 日本の会社は、数字より先に一覧の言語を見る
⑨ タブが出ないのはデータ量の条件で、対策不足ではない
⑩ 残った質問は6項目の企画票に落とし、根拠が空欄の行は会議に出さない
今日できることを1つだけ挙げます。Bing Webmaster Tools を開いて、AI Performance にこのタブがあるかだけ見てください。無ければ今日の作業は終わりです。あれば、機会の質問を10件だけ読んで、新規・改善・捨てるの3つに振り分けてみてください。10件やれば、自社の場合にこの一覧が使えるかどうかが分かります。
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