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YouTubeのコメント検索で顧客の質問を抜き出す方法【90日を過ぎると単語でしか探せません】
広報担当者
『自社のYouTubeに付いたコメントから、お客さんがよく聞いていることだけを抜き出したいんです。でも数百件を上から読むしかなくて、2年前の分は誰も手を付けられていません…』
こういった疑問に答えます。
本記事では、自社のYouTubeに付いたコメントを、次の動画の企画や営業の材料として使いたい広報・マーケティングのご担当者に向けて書いています。
先に結論を3つ出します。
- Studioのコメントの検索は、キーワードの一致だけでなく、意味でも引けるようになりました
- ただし意味で引けるのは直近90日分だけです。キーワードの一致なら、これまでの全期間に効きます
- コメントは消えません。手を離れるのは、似た意味のコメントをまとめて取り出す道具、つまり束で引くほうです。だから四半期に一度、拾った質問を社内の文書へ移してください
この記事の要点
- キーワードは全期間、意味で引けるのは直近90日
- コメントは消えない。束で探せなくなるだけ
- だから四半期に一度、拾った質問を社内へ移す
結論:YouTube Studioのコメント検索は、キーワードなら全期間・意味なら直近90日です
YouTube Studioでコメントを見る画面、つまり左メニューの「コミュニティ」を開いた先の上部に、フィルタが並んでいます。ここに「検索」が増えました。YouTubeヘルプ「コメントの確認と返信」には、この検索がAIを使ってコメントの背後にある意味と意図を理解する、と書かれています。キーワードの一致に加えての機能です。
何が変わるのか。これまでは、自分が知っている語を打ち込むしかありませんでした。「料金」と打てば「料金」と書いてあるコメントだけが出ます。「いくらくらいですか」「予算感を教えてください」は、同じことを聞いているのに1件も出てきません。視聴者は社内の用語で書いてくれないので、言い方の数だけ取りこぼします。そこが変わる、という話です。「価格について聞いている質問」と自分の言葉で打てば、言い回しの違うコメントがまとめて並びます。
コメント欄が顧客の質問リストである、という価値づけはYouTubeにアンチからコメントが来た時の対処法【荒れたら押すのは一時停止】に書きました。なぜ閉じてはいけないのか、荒れた日にどのボタンから押すのか。そちらで一通り片づけてあります。
今日はその次の問いです。開いているだけでは足りません。では、その質問リストをどうやって読むのか。
ここで制限が1つ効いてきます。意味で引けるのは直近90日分だけです。キーワードの一致は全期間に効きます。同じ検索ツールでも、引き方によって遡れる範囲が違う、ということです。
90日で消えるのはコメントではありません。意味で引ける窓のほうです
まず表で出します。
公式の日本語ヘルプには「すべてのコメントから一致するキーワードを検索し、過去 90 日間の類似のコメントやトピック別のコメントを検索できます」と書かれています。1文の中に全期間と90日が両方入っていて、読み飛ばしやすい。ただ、企業の運用にはここがいちばん効きます。
表は引き方で分けていますが、境目は打ち方そのものではありません。公式は、打ち込んだ言葉をキーワードとしても主題としても扱う、と読める書き方をしています。同じように打っても、語が一致すれば90日より前のコメントが出てくることがある、ということです。
つまり、2年前のコメントは消えていません。「補助金」と書いてあるコメントを探すだけなら、何年前でも出てきます。
1つだけ但し書きを。YouTubeが90日で消すわけではない、というのが芯です。ただし視聴者が自分で書き込みを消すことも、アカウントごと無くなることもあります。残っている保証までは、どこにもありません。だからこそ、引けるうちに自社へ写しておく意味があります。
引けなくなるのは束のほうです。「要するに費用の話をしている質問」という、言い方がばらばらな集合を一度に取り出す操作が、90日より前には効きません。
残っているのに束で探せない。これは、消えてしまうよりタチが悪い形です。
消えたなら諦めがつきます。会議でも「残っていません」で終わります。あるのに見つけられないものは、誰かが探し続けます。担当者が代わった瞬間に、過去のコメントは「どこかにあるはずの資料」になる。探す時間だけが毎回発生して、成果は出ません。
StudioのAIとの会話が30日で画面から消える、という話はYouTubeのAI「Ask Studio」の使い方【企業が入力していい線はここです】に書きました。形は似ていますが別の話です。あちらは消えるので転記する。今日のコメントは消えないので、引けるうちに束で取り出しておく。やることが違います。
もう1つ。Ask Studioの記事で引いた「StudioのAIに何を入力してよいか」の線は、この検索には当てはまりません。打ち込むのは自社のコメントを探すための言葉で、社内の情報を渡す操作ではないからです。AIの利用を絞っている会社でも説明はしやすいはずですが、それで対象外になるかどうかを決めるのは各社の規程のほうです。
90日より前の分は、言い換えを捨てて「語」で掘ります
では、2年分の古い在庫はどう掘るのか。この記事でいちばん書いておきたいところです。
使える道具は1つです。意味での検索は90日より前には効かないので、残るのはキーワードの一致だけ。そのかわり全期間に効きます。諦めるのではなく、掘り方を変えるだけです。
言い換えは、人のほうで用意します
意味での検索が肩代わりしていたのは、言い換えの吸収です。「料金について聞いている質問」と打てば、「いくら」とも「予算感」とも書いていないコメントまで並びます。90日より前では、それが止まります。
だから、言い換えを自分で並べてから打ちます。料金を調べたいなら、料金・値段・価格・いくら・費用を1語ずつ。1つのテーマに5回打つ、ということです。
ここに業種の言葉も足してください。視聴者が使う語は社内の語と違います。建築なら坪単価、人材なら採用単価、ソフトウェアなら初期費用。自社の資料に載っている呼び方ではなく、お客さんが商談で口に出した言葉を並べると当たります。
完全な棚卸しにはなりません。先に認めておきます
1語ずつ打つ以上、取りこぼしは出ます。「もうちょっと安くならないですか」は、料金でも価格でも費用でも引っかかりません。2年分を全部拾うのは無理です。無理なものを目標に置くと1回やって終わるので、目的のほうを下げてください。古い分は語で拾い、新しい分は意味で束ねる。古いほうでやるのは「全部拾う」ではなく、「よく聞かれた語を5つだけ確かめる」です。
その5つが2年前にも聞かれていたのか、最近になって増えたのか。そこが分かれば、古い在庫から取るべきものはだいたい取れています。
順番も決めておきます。先に手を付けるのは意味で引けるほうです。語で引く分は来年でも同じように引けますが、いま意味で引ける3か月分は、3か月経てば別の3か月に入れ替わります。閉じるほうの窓から先に取ってください。
YouTube Studioのコメント検索は、入口が3つあります。自分の言葉、候補のトピック、1件からの類似検索
検索の使い方は3通りです。自分で打って引くやり方が2つと、コメントの側から引くやり方が1つ。入口が違うので、用途も分かれます。


1つ目:自分の言葉で打つ。社内の用語のままで構いません
1つ目は、自分の言葉で検索の言葉、つまりクエリを打つやり方です。最大100文字まで打てます。「使っている機材についての質問」「編集をほめているコメント」のように、テーマや主題で書きます。視聴者が同じ語を使っている必要はないので、社内の用語のままで構いません。
100文字という上限にも、使い方の指示が含まれています。1文のテーマなら十分に入りますが、条件をいくつも重ねた長い指定を書き切るには足りません。1回で全部を取ろうとせず、「料金について」「導入までの期間について」「他社との違いについて」と3回に分けるほうが、結果の揃った一覧になります。
2つ目:候補のトピックは、自分でテーマを決められるなら使いません
2つ目は、AIが出す候補のトピックから選ぶやり方です。何を打てばいいか思いつかないときの入口になります。ここで1つ注意。どういう規則で候補が並ぶのかは、公式の案内まで辿れませんでした。調べた範囲では媒体ごとに挙げている候補名が違っていたので、自社に付いたコメントの中身で変わると読むのが妥当です。他社の記事に並んでいた候補名が自分の画面に出なくても、不具合だとは考えないでください。
使いどころは1つです。テーマを自分で決められるなら、この入口は使わなくていい。自分で打つ検索は自分が思いついたテーマしか出てこないので、使うのは年に1回、想定していなかった話題が来ていないかを確かめるときだけです。
3つ目:1件から類似を引く。企業にはこれがいちばん効きます
3つ目が、企業にいちばん効きます。個別のコメントの右側にある3つの点のマーク、いわゆる3点メニューから、意味の近いコメントをまとめて引く操作です。良い質問を1件見つけたら、そこから同じ趣旨を束ねられます。
効くのは、企画の根拠が変わるからです。これまでは1件を会議に持ち込むしかなく、偶然なのか需要なのかを誰も判断できませんでした。類似のコメントを引けば、その場で件数が分かります。たとえば「同じ趣旨が12件来ています」と言えたら、まったく別の重さを持ちます。
ただし、いちばん効くこの入口が、90日の制約もいちばん強く受けます。束ねられるのは直近90日の範囲なので、2年前の1件から同じ趣旨を集める使い方はできません。古い分は、さきほどの語で掘るやり方に回してください。
3つに共通すること:検索しただけでは、コメントは動きません
社内で説明するときに効く性質が1つあります。この検索は読み取り専用だと説明されています。検索しただけでは、コメントが削除されることも非表示になることもありません。
情報システムの担当者、いわゆる情シスや法務に相談するときは、ここを先に言ってください。止まるのはたいてい「AIが勝手に何かを消すのではないか」という一点なので、コメントを書き換える操作ではないと分かれば説明はしやすいはずです。ただし、承認を取る必要があるかどうかは各社の規程で決まります。こちらで対象外だと決められる話ではないので、使う前に自社のルールを確かめてください。
画面に検索が見当たらないときは、語の一致と「質問が含まれる」で代わりを組みます
自社の画面に検索が出ていない、ということもあり得ます。その場合でも作業は止まりません。代わりになるのは、前からある2つの道具です。キーワードの一致は全期間に効き、「質問が含まれる」のフィルタは質問の形をしたコメントだけに絞れます。どちらも公式のヘルプに載っています。
手順はこうです。まず「質問が含まれる」で絞り、そのうえで料金・納期といった語を1語ずつ打つ。打つ回数は増えますが、遡れる範囲は全期間のままです。失うのは束ねる速さであって、集められる量ではありません。30分という形は、そのまま回せます。
パソコン版のStudioだけです。スマートフォンで読めるのは検索ではなく要約のほうです
この検索が使えるのは、パソコンのStudioだけです。ここで止まる会社が多いので先に書きます。
スマートフォンのStudioアプリでコメントに掛けられるのは、ヘルプに並んでいる範囲では、公開済みかどうか、チャンネル登録者数、返信のステータスといった既存のフィルタです。意味で引く検索は出てきません。
ただし、何も無いわけではありません。StudioアプリにはコメントをAIがまとめて読める形にする「要約を取得」(Get summary)という別の機能があります。案内が確認できたのはiPhoneとiPadの画面についてまでで、Androidで使えないとは言い切れません。自社の端末でStudioアプリを開き、要約に当たる操作があるかを見てください。
この2つは目的が違います。スマートフォンでできるのは、まとめて読むこと。検索は、特定のテーマだけを抜き出すことです。要約は全体の空気を掴むのに向いていて、抜き出しには向きません。
実務の壁はここです。移動中にスマートフォンでコメントを見る運用の会社は、この記事の吸い出しがそもそも実行できません。毎日見ているので見ているつもりにはなりますが、抜き出しは1件も進んでいません。
対処は単純です。パソコンの前に座る30分を予定に入れてください。毎日の確認はスマートフォンのままで構いません。抜き出しだけが、別の作業として要ります。Studioそのものの開き方はYouTube Studioの使い方【最初に触るのは3か所だけです】に書きました。
検索結果に自社の返信は出ません。だから視聴者の声だけの一覧になります
公式に書かれている制限が2つ。片方は不便で、もう片方は利点です。
不便なほうから書きます。特定のユーザーを指定してコメントを検索することはできません。「あの取引先の担当者が書いてくれたコメント」を名前で探す使い方はできない、ということです。追えるのは話題のほうだけなので、特定の相手の発言を残す必要があるなら、見つけた時点で控えておくしかありません。
もう1つが、制限の顔をした利点です。自分のチャンネルからの自分のコメントは検索結果に含まれないので、自社が返信した文面は出てきません。
これは丁寧に運用している会社ほど効きます。1件の質問に1件の返信を付けていると、上から読むときに視聴者の質問と自社の返信が交互に並びます。「料金」のことを知りたいだけなのに、自社が書いた「概要欄をご覧ください」まで目に入る、という形ですね。
それが出ません。検索結果が、そのまま視聴者の言葉だけの一覧になります。スプレッドシートに貼れば自社の言い回しが1行も混じらないので、お客さんが使っている言葉の一覧として営業にも渡せます。顧客の語彙だけを集めるのは普通なら手間のかかる作業で、それが仕様で勝手に片づきます。
「質問が含まれる」フィルタでは、質問の形をしていない要望を拾いきれません
新しい検索が増えても、既存のフィルタは残っています。返信のステータス、質問が含まれるかどうか、チャンネル登録者数、公開でチャンネル登録しているか、メンバーかどうか。組み合わせて使えます。
使い分けの線はここです。「質問が含まれる」で拾えるのは質問の形をしたコメントで、質問の形をしていない要望は拾いきれません。
例を出します。「パート2が見たいです」「〇〇の回も作ってほしい」は質問ではありません。でも企画としては質問より強い材料です。質問はまだ調べている段階の人の言葉ですが、要望はもう続きを待っている人の言葉だからです。
ここが新しい検索の使いどころです。「続編を求めている声」と打てば、疑問符が付いていないコメントも意味のほうで拾われます。既存のフィルタの外側を、1回で取り出せます。
逆に、既存のフィルタだけで済む作業もあります。登録者数のしきい値は1,000人・1万人・10万人・100万人・1,000万人以上から選べるので、企業のチャンネルなら10万人以上で切る。そこに「質問が含まれる」と「未返信」を重ねれば、返信を急ぐべき相手だけが残ります。新しい検索は要りません。
整理すると、既存のフィルタは「誰のどんな状態のコメントか」で絞る道具で、新しい検索は「何について書かれているか」で束ねる道具です。毎日の返信は前者で回して、企画のための吸い出しは四半期の検索で回す。同じコメントの画面でも、押すところが違うと考えてください。
四半期に一度、拾った質問を社内の文書へ移してください
ここが今日の結論です。企業のコメント管理は、毎日見張ることではありません。四半期に一度、残すものを決めることです。90日は約3か月なので、仕様が運用の周期を決めてくれています。
ただし、四半期そのものを引き金にはしないでください。四半期は90日から92日で、90日ちょうどに収まる期もあれば、1日か2日はみ出す期もあります。きっちり四半期ごとに回すと、はみ出した期だけ、前回も今回も届かない日が残ります。期の初めに揃えても同じで、前回からの間隔は1四半期のままだからです。
だから引き金は日付ではなく、前回からの日数に置いてください。前回の吸い出しから80日経ったら次を回す。90日ちょうどを狙わないのは、起点が確認できていないからでもあります。四半期はカレンダーに置くときの目安で、実際に動くのは80日のほうです。
手順:1回30分。前回から80日で回します
用意するのは3つ。パソコン、チャンネルを編集できる権限のGoogleアカウント、書き込み先のスプレッドシート。
- パソコンのブラウザでStudioを開き、左メニューの「コミュニティ」を選びます。コメントの確認と返信をするのが、この画面です
- 画面の上のタブから「公開済み」を開きます。保留中のコメントは検索の対象にならないので、ここを間違えると1件も出てきません
- タブの上部にあるフィルタを開き、その中から検索を選びます。前からあるフィルタと同じ並びです
- 自社のサービスについて聞かれそうなことを、自分の言葉で1つ打ちます。100文字以内です。打ち終えたら確定します
- 完了の確認はここです。一覧が打った言葉に関係するコメントだけに切り替わっていれば成功。全部並んだままなら確定まで進んでいません。0件なら言葉を変えてもう一度打ちます
- 2年以上前の分まで遡りたいときは、打つ言葉を変えます。文章ではなく、正確な語を1語だけ。「補助金」のように、視聴者が実際に書いた言い回しです。キーワードの一致は全期間に効くので、古い分はここで拾います
- 出てきたコメントを、スプレッドシートに4列で写します。質問の文面そのまま、付いていた動画、日付、そしてテーマ。テーマは「料金」「納期」のように、そのとき打った言葉で足ります
- テーマを変えて、4から7を3〜5回くり返します
- テーマの列で並べ替えて、同じテーマの行をまとめます。あとは行数を数えて、多い順に並べれば終わりです
7のテーマの列が、最後の9を成立させます。写すときに1語入れておかないと、あとから数百行を読み直すことになります。
8で打つテーマを先に決めておくと、毎回ぶれません。料金、納期、他社との違い、使い方、導入後のサポート。僕たちが企業のチャンネルで見てきた範囲では、多くの業種でこの5つに質問が集まります。自社の商談で毎回聞かれることを足して、5つから7つで足ります。
30分というのは、この5つを1周したときの目安です。1テーマあたり、打って一覧を眺めて数件写すまでで5分前後。5回で25分、並べ替えに数分という計算です。コメントが数千件あるチャンネルや、初回で2年分を掘る回は、これより長く見ておいてください。
6の語で掘るステップは、初回だけ気合いを入れてください。2年分を1周するのは最初の1回だけで、2回目からは前回の吸い出しから先の3か月を意味で引くだけなので、4と7で終わります。
7でいちばん大事なのは、要約しないことです。写すのは原文です。視聴者の言い回しそのものが資産で、要約した瞬間に社内の言葉へ戻ってしまいます。「価格に関する問い合わせ」とまとめてしまったら、残ったのはもう自社の語彙です。
置き場所:個人のドライブに置くと、同じ問題を社内に作り直します
置き場所も、写す前に決めてください。決めずに始めると、担当者の手元に1枚できて終わります。それは「担当者が代わったら誰も掘り返せない」という状態を社内に作り直すだけです。1人しか開けないファイルは、90日の壁と同じ働きをします。
決めるのは4つです。
- 置き場所は、個人のドライブではなく、部署で共有しているフォルダにする
- ファイル名に日付を入れて、四半期ごとにシートを足していく1枚にする。毎回新しいファイルを作らない
- 次の担当者が最初に開く場所、営業の想定問答や社内wikiから、そのファイルへ辿れるようにしておく
- 担当者が代わるときの引き継ぎ項目に、このファイルの場所を1行入れる
4番だけ性質が違います。1から3は今日できることで、4は仕組みに入れる話だからです。引き継ぎの一覧に書いていないものは引き継がれません。逆にそこへ1行入れておけば、担当者が3人代わってもファイルは生き残ります。
自動化:情シスがいるなら、APIキーだけで読めます
情シスがいる会社なら、自動化もできます。YouTube Data API、つまりYouTubeのデータをプログラムから取り出すための公式の窓口に commentThreads.list という機能があり、ここからコメントを取得できます。1回のリクエストで最大100件まで取得でき、ページ送りで次へ進めます。返るのはコメントのスレッドなので、返信まで全部そろえるなら別のリクエストが要ります。
社内に持ち込みやすいのは、ここから先です。公開されているコメントを読むだけなら、OAuthの認証まわりを組まなくてもAPIキーで足ります。アカウントの権限を預ける話にならないので、情シスに頼むハードルが1段下がります。searchTerms というパラメータで語を絞れるので、さきほどのリストをそのまま渡せます。
ただし広報の担当者が自分で叩く前提にはしないでください。1回30分なら手で写すほうが早く始まります。自動化は手が回らなくなってから相談すれば間に合います。
行き先:次の動画、再生リスト、想定問答の3つ
写し終えたら、行き先を3つ用意します。
1つ目は、次の動画のテーマです。件数の多い順に並べた一覧が、そのまま企画の優先順位になります。企画のタネは競合の動画からも取れて、その進め方は企業がYouTubeを1ヶ月運用した全記録をまとめ【業界は太陽光販売】に書きました。コメントと競合調査は、どちらか片方ではなく両方からでいいです。
2つ目は、再生リストです。よく聞かれる順に既存の動画を並べ直せば、見る人が自分の疑問の順に進めます。組み方は複数のYouTube動画を1本のURLで渡す方法【再生リストを30分で作る】にまとめました。
3つ目は、営業とカスタマーサポートの想定問答です。商談で毎回出てくる質問と、コメントに来る質問は、だいたい同じ顔をしています。
保留中のコメントの60日と、意味で引ける90日は別の期限です
数字が2つ出てくるので、分けて書いておきます。
保留中のコメントは、最長60日間Studioに保持されます。これは公開する前に止めておいたコメントの話です。意味で引ける90日は、公開済みのコメントを検索できる範囲の話。対象も意味も違うので、片方を急いでももう片方は動きません。
そして、60日を過ぎた保留のコメントがどうなるのかは、公式の案内を見つけられていません。消えるのか、残るのか、公開されるのか。保留の設定を扱った回でも同じところで止まっていて、今回も埋められませんでした。だから「60日放っておいても影響はない」とは書けません。
分からないままでも、やることは決まります。四半期の30分に入る前に、保留中のタブを先に片づけてください。保留中のコメントは公開されていないので、公開済みを対象にした検索では出てきません。そこに良い質問が混じっていても、30分の吸い出しには1件も入りません。
この順番が効く理由が、もう1つあります。リンクを含むコメントを保留する設定を入れていれば、URLの付いた書き込みは自動で保留に回ります。ブロックする単語を登録していれば、その語を含むコメントも同じです。つまり具体的に書いてくる人ほど保留側に入りやすい。この記事がいちばん欲しいのは、まさにその具体的な質問です。放っておくと、集めたい質問だけが検索に出てこない形になります。
順番はこうです。まず保留中のタブを開いて、承認するか消すかを決める。承認した分は公開済みのタブに移るので、そのあと検索に入ります。この順番さえ決めておけば、60日と90日という2つの数字を覚える必要はありません。覚えるのは「保留を片づけてから検索する」だけです。
『いやいや、うちはコメントが月に数件なんです』→ 90日の壁は、件数と関係なく効きます
そう思われたはずです。月に数件なら大げさだと。前提は否定しません。3つ書きます。
1つ目。そのとおりです。月に数件なら検索は要りません。公開済みのタブを上から読めば30分で終わりますし、1件ずつ読んだほうが文脈まで拾えます。
2つ目。それでも吸い出しの習慣は同じように要ります。90日の壁は件数と関係なく効くからです。3年目に「2年目の人たちは何を聞いていたか」を振り返ろうとした時点で、束では取り出せません。件数が少ないぶん1枚のシートに2年分が収まるので、作る手間がいちばん軽いのはこの規模の会社です。
3つ目。件数が少ない会社ほど1件が重いです。何万回も再生されるチャンネルの1件は統計の一部ですが、再生が数百回の企業のチャンネルでわざわざ質問を書いた人は、もう検討している側に立っています。1件を企画にしてよい、と僕たちが言えるのはこの場合です。
そしてもう1つ。コメントが来ない原因が設定の側にあることもあります。代表は、視聴者層の設定でコメントが無効になっている形です。閉じた覚えがないのにコメントが無いなら、集め方を考える前にそこを確認してください。
確かめきれていないことを4つ書いておきます
断定しなかったところと、確かめ方を並べます。
1つ目は、この検索がいつから使えるようになったかです。日付を挙げている媒体はありますが、一次の告知まで辿れませんでした。だから本記事では日付を書いていません。確かめ方は画面のほうが早いです。パソコンのStudioでコメントの画面を開き、上部のフィルタに検索があるかを見てください。
2つ目は、打ち込むところの画面の作りです。入力する場所がいくつ並び、それぞれ何という名前なのか。媒体によって書いていることが違っていて、公式のヘルプの文面からも読み取れませんでした。だから本記事では挙動だけを書いています。キーワードが一致すれば全期間から、意味で寄せれば直近90日から。社内の手順書を作るなら、画面を見ながら自社の言葉で書いてください。
3つ目は、候補のトピックとして何が並ぶかです。媒体ごとに名前が違っていて一致しませんでした。他社の記事に出ていた候補の名前を、社内の手順書に書き写さないでください。来期には画面から消えている可能性があります。
4つ目は、90日の起点です。コメントの投稿日から数えるのか、別の基準なのか、どこにも書かれていませんでした。だから「89日目でぎりぎり間に合う」という運用は組まないでください。前回から80日で回すと決めておけば、起点が多少どちらに振れても手前で拾えます。
例外:この話が向かない会社もあります
4つあります。
1つ目は、コメントをオフにしている会社です。そもそも集める対象がありません。開くか閉じるかの判断はYouTubeにアンチからコメントが来た時の対処法【荒れたら押すのは一時停止】にまとめました。
2つ目は、動画が数本で、コメントが1桁の会社です。検索の前に全部読めるので、やるべきなのは1本増やすほうです。
3つ目は、担当者がスマートフォンだけで運用している会社です。パソコンの前に座る30分をどうしても取れないなら、Studioアプリの要約の機能で全体を掴むほうが続きます。抜き出しは諦めることになりますが、何も見ない状態よりは前に進みます。
4つ目は、問い合わせがコメントではなくフォームと電話に集中している会社です。質問の在庫はコメント欄ではなく問い合わせの履歴にあるので、吸い出し先をそちらに変えてください。やることの形は同じで、原文のまま写して、件数の多い順に並べるだけです。
逆にいちばん効くのは、検討の期間が長い商材で、動画を2年以上出し続けている会社です。コメントが数百件たまると、上から読む方法では無理が来ます。そして2年分のうち意味で引けるのは最後の3か月だけなので、いま手を付けるかどうかで残せる量が変わります。
僕たちCVOは、YouTube運用、インフルエンサーマーケティング、動画編集者育成の3つを手がけています。集めた質問を次の動画に変えるところから、制作まで一緒に組めます。お問い合わせからどうぞ。
今日のアクション:検索を探して、1つだけ打ってみる
今日やることは4つ、15分です。
- パソコンでStudioを開き、左メニューの「コミュニティ」を選びます。公開済みのタブを開いて、上部のフィルタに検索があるかを見ます
- あれば、よく聞かれることを1つ、自分の言葉で打って確定します。100文字以内です。思いつかなければ「料金についての質問」から。無ければ、語を1つだけ打つやり方に切り替えます
- 出てきたコメントを5件だけ、スプレッドシートに写します。要約せず、文面をそのまま貼ります。テーマの列を足して、打った言葉を書いておいてください。置き場所は最初から部署の共有フォルダにします
- カレンダーに30分の予定を4回ぶん入れます。日付は四半期の頭でいいですが、「前回から80日で回す」と予定の名前に書いておいてください
1から3は練習で、本番は4番です。予定に入っていない作業は、年に4回でも実行されません。
もっと知りたい方へ:Studioまわりの話は、画面ごとに分けて書いてきました
まとめ:コメントは消えません。束で探せる期間だけが、90日で閉じます
3つに圧縮します。
1つ目。Studioのコメントの検索は、意味と意図でも引けるようになりました。入口は3つ。自分の言葉で100文字まで打つか、候補のトピックから選ぶか、1件から類似のものを束ねるかです。使えるのはパソコンのStudioだけで、スマートフォンにあるのは要約のほうです。
2つ目。意味で引けるのは直近90日分だけで、キーワードの一致は全期間に効きます。だからコメントが90日で消えるわけではありません。手を離れるのは、言い方のばらばらな質問をかたまりとして取り出す道具のほうです。残っているのに束で探せない状態は、担当者が代わった瞬間に誰も掘り返せなくなります。
3つ目。だから30分だけ時間を取ってください。回す間隔は、四半期を目安にしつつ、引き金は前回から80日に置く。テーマを5つ決めて検索し、出てきたコメントを原文のままスプレッドシートに写す。90日より前の古い分は、言い換えを自分で並べて1語ずつ打つ。それだけです。
そして、写す前に置き場所を決めてください。部署で共有しているフォルダに追記していく1枚を置いて、引き継ぎの項目にその場所を書く。ここまでやって、ようやく記録が社内に移ります。
やらなくていいことも書いておきます。毎日コメントを眺める時間を増やす必要も、全件読んで分類する必要もありません。年に4回か5回、30分ずつで足ります。
カレンダーに4回ぶんの予定を入れるところから、どうぞ。
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