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自社のロング動画をショートに切り出すのは大丈夫?【公式は問題なしと明記】
マーケティング担当者
『うちは社長のロング動画から1分だけ切り出してショートに上げています。10月から使い回し扱いで表示されなくなると聞いたのですが、やめたほうがいいですか…』
こういった疑問に答えます。
本記事では、セミナーや社長インタビューのロング動画を溜めていて、その一部を縦型に切り出してショートに出している企業のご担当者に向けて書いています。
先に結論を出します。止めなくていいです。10月1日の更新で絞られたのは、他人の動画の再投稿です。自社のロング動画の切り出しは、対象として名指しされていません。
不安になるのは当然で、理由もはっきりしています。この件には似た名前のルールが4つあって、そのどれも「自社素材の切り出し」を名指ししていないのに、4つを分けて説明している記事がほとんどないからです。この記事では、その4つを1枚の表で分けます。
この記事の要点
- 10月の更新で絞られたのは他人の動画の再投稿
- 自社の動画の切り出しは、公式ヘルプが問題なしと明記
- 限定公開・非公開の動画からは切り出せない
結論:自社の動画の切り出しは止めなくていい。ヘルプに明記があります
いちばん大事なところを先に書きます。
YouTubeヘルプの「YouTube Studio の動画クリップとショート動画」には、「動画クリップやショート動画で自分のコンテンツを使用した場合に、ペナルティを受けることはありません」と書かれています。長尺動画から魅力的な部分を切り抜いて、個別のクリップやショート動画として公開できるという案内の中にある一文です。
この一文が、今回の判断の土台です。
10月の更新を扱った日本語の解説記事をいくつも読みましたが、この明文を引いている記事はありませんでした。どれも「公式の文言は他のクリエイターを対象にしているので、自社素材は直接の対象ではないと読める」という推定で止まっています。推定でも結論は同じなのですが、担当者が社内で「大丈夫です」と言い切るには、推定では弱いです。
とはいえ、これで何でも許されるという話にはなりません。自社素材でも線を越える出し方はあります。それは記事の後半で、どこが境目になるのかまで書きます。
まずは、何が変わって、何が変わっていないのかを分けます。
10月1日に何が変わったのか。絞られたのは「他人の動画の再投稿」
2026年10月1日、YouTubeのヘルプコミュニティに「Prioritizing original content on Shorts」というタイトルの告知が出ました。日本語にすると「ショートでオリジナルのコンテンツを優先する」です。
告知として報じられている内容では、ショートのおすすめが、オリジナルのコンテンツを優先するように調整されます。他のクリエイターの動画を、大きな変更を加えずに集めたり再アップロードしているチャンネルは、ショートフィードでの配信が減る見込みだとされています。
ここで押さえてほしいのは、変わるのが「おすすめへの出方」だという点です。動画が削除されるとか、チャンネルが止まるという話ではありません。
「オリジナルではない」とされている例
報じられている内容では、動画を変えるためだけの軽微な技術的編集やテンプレートによる変更ではなく、自分の声・語り・独自の視点を持ち込んでほしい、という趣旨が書かれています。例として挙げられているのは、他人の動画の切り抜き、他者動画のまとめ、画面で起きていることを読み上げるだけのナレーションです。
並べてみると、どれも主語が他人です。他人の素材を、ほとんど手を加えずに自分のチャンネルへ流すこと。それが絞られる対象です。
社長が自分で話した30分の動画から、自分で1分を選んで出す。これは構図がまったく違います。
適用開始日は示されていません
ここは正確に書いておきます。この告知には、いつから適用されるのか、どの期間の投稿を評価するのか、影響を確認できる画面があるのかが示されていません。複数の媒体が「適用開始日・評価期間・確認画面は未公表」と書いています。
つまり「10月1日からもう反映されています」とは言えない状態です。社内で説明するときも、そこは言い切らないほうがいいです。
混ざっているルールは4つあります。1枚で分けます
ここがこの記事の本題です。
担当者が混乱している原因は、情報が足りないことではありません。似た名前のルールが4つ並んでいて、それぞれ効く場所が違うのに、全部まとめて「使い回しはダメになった」と要約されてしまうことです。
4つを分けます。
表の右側を縦に読んでください。名指しされているのは「他のクリエイター」「他者」「既にあるコンテンツ」です。自社のロング動画から自分で切り出したショートは、どの行にも入りません。
混ざりやすいポイントを3つだけ補足します
① 上の1つ目だけが「おすすめ」の話で、残りの3つは「お金」の話です。収益化していない企業のチャンネルは、2〜4つ目をそもそも気にしなくてよい立場にあります。にもかかわらず、収益化ポリシーの話を読んで不安になっている担当者がいちばん多いです。
② 2つ目の「再利用されたコンテンツ」は、チャンネル全体に適用されます。1本の違反で、チャンネルの収益化が無効になる可能性があります。ここだけは効き方が強いので、他人の素材を混ぜている場合は本気で見直す必要があります。
③ 3つ目の「量産型のコンテンツ」は、以前は「繰り返しの多いコンテンツ」という名前でした。2025年7月15日の更新で、繰り返しの多いものだけでなく大量生産されたものも該当することを明確にするため、項目名が変わっています。古い記事を読んで旧名称で覚えている人は、ここを更新しておいてください。同じ変更の話は顔出しなしで企業がYouTubeをやる際のヒントをまとめましたでも書きました。
なお、批評を目的としたクリップの使用や、元の動画にコメントをするリアクション動画は違反にならないと明記されています。他人の素材がまったく使えないという話ではありません。使うなら、自分の言葉を足すということです。
自社のロング動画からショートを作る手順は2つあります
では、実際の作り方です。公式に案内されている道が2つあります。
パソコンのYouTube Studioから作る
ヘルプ上の表記では、こういう順番です。
① YouTube Studioを開き、左メニューの[コンテンツ]から[動画]を選ぶ
② 切り出したい元の長尺動画を開く
③ 左メニューの[クリップとショート動画]を選ぶ
④ [ショート動画]を選ぶ
⑤ 使う部分を指定する。文字起こしからテキストを選ぶか、タイムラインエディタにタイムスタンプを入力する
⑥ 下書きができたら、通常のアップロード画面からタイトルと説明文を入れて公開する
メニューの名前はヘルプ上の表記です。実際の日本語の画面では違う言葉になっていることがあります。僕たちも以前、ヘルプに「インスピレーション」と書かれていたタブが、日本語の画面では「アイデア」になっていたのを確認しました。押す場所が見つからないときは、言葉ではなく位置で探してください。
⑤のやり方で、文字起こしからテキストを選べるところが実用的です。30分の動画から使える1分を探すとき、再生して耳で探すより、文字を読んで選ぶほうが速いです。セミナーの質疑応答なら、質問の文を見つけてそこから選べばいい。
スマートフォンのアプリから作る
アプリの場合は、ヘルプ上の表記ではこうなっています。
① 元の動画の再生ページを開く
② [リミックス]を選ぶ
③ [ショート動画として編集]を選ぶ
④ 使う部分を選ぶ
長尺動画をショートに編集できるのは、元の動画を制作したクリエイターだけです。他人の動画に同じ操作をすると、リミックスとして扱われます。ここも、自社素材と他人の素材が仕組みの側で分かれている証拠です。
切り出せる長さは、自分の画面で確かめてください
1つだけ、ヘルプの中で記述が食い違っている点があります。
ショートそのものの上限は、2024年10月15日に60秒から3分へ変わりました。1分から3分の縦向き動画もショートに分類されます。ところが、アプリの[ショート動画として編集]の案内には、60秒以内の部分を選択すると書かれています。
つまり、ページによって書いてあることが違います。切り出し機能で実際に何秒まで取れるかは、ご自分の画面で確かめてください。どちらかに言い切っている解説記事を見かけても、そのまま信じないほうがいいです。ショートの長さと企業の使い方についてはAI検索に引用される動画の長さは何分?【答えは10〜20分・でも気にしないでOK】で別に書いています。
企業がつまずくのはここ。限定公開の動画からは切り出せません
ここが、企業の現場でいちばん効いてくる制約です。
この切り出し機能が使えるのは、アップロード済みで公開されている長尺動画だけです。非公開と限定公開の動画は使えません。第三者から著作権の申し立てがある動画も使えません。
企業のチャンネルを見ていると、ここで止まる会社が多いです。理由は単純で、商談用の説明動画や社内向けのセミナー録画を、限定公開で置いている会社が多いからです。URLを知っている人だけに見せる形で運用しているぶんには都合がいいのですが、そこからショートは作れません。
だから、どうするか
やることは2つに分かれます。
① その動画を公開に切り替えてよいか決める。公開にできるなら、切り出しはそこから作れる
② 公開にできない内容なら、公開用の1本を別に撮る。限定公開のほうは商談専用のまま残す
②を面倒に感じるかもしれませんが、実際には②のほうが筋がいい場面も多いです。社外に出せない数字や顧客名が入っている動画は、そもそも切り出しても使えません。公開用は公開用として、最初から外向けの話し方で撮ったほうが、切り出したときの出来も良くなります。
公開範囲の使い分けそのものはYouTube Studioの使い方【最初に触るのは3か所だけです】に表でまとめてあります。
元の動画を消すと、切り出したほうも消えます
もう1つ、運用で効いてくる話です。
自分の動画から作ったクリップは、元の動画が削除されたか非公開にされた場合などに削除されます。
これは棚卸しのときに事故になります。古いロング動画を整理して非公開に落としたら、そこから作ったショートも一緒に消えた。こうなると、ショート側に付いていた再生数もコメントも残りません。
対策は1つです。ロング動画を非公開や削除にする前に、そこから何を切り出したかを確認してください。管理表を作るほどのことではなく、切り出した時点で元動画の説明文に一行メモを書いておくだけで足ります。
切り出したショートの役割は、新規獲得ではなくロングへの入口です
ここが、企業にとっていちばん持ち帰ってほしい話です。
ヘルプでは、元の動画をもとに作ったショートは元の動画にリンクされるため、新しい視聴者に元の動画を見つけてもらう機会が増えると説明されています。
この一行が、企業の切り出しの意味を決めています。切り出したショートの役割は、新しい視聴者を集めることではなく、ロングという営業資料への入口を増やすことです。
考えてみてください。30分のセミナー動画を、知らない人が最初から見ることはまずありません。けれど、その中の1分が流れてきて、話している内容が自分の課題に当たっていたら、元の動画まで見に行く人は出ます。ショートはその1分を配るための枠です。
だから、切り出す場所の選び方も変わります。いちばん盛り上がった場面ではなく、お客さんから繰り返し聞かれる質問に答えている場面を切ってください。盛り上がりは再生されやすいですが、ロングまで見に来る理由にはなりません。
ロング動画を営業や採用で使う考え方そのものはAIO時代の動画コンテンツ活用法【置き場所は3つあります】に書いてあります。
『おすすめに乗らないなら意味ないでしょ』への回答
ここで反論が出ると思います。おすすめに乗らなければ誰にも見られないのだから、更新の影響は無視できないだろう、と。
答えは、企業の場合は優先度が低い、です。
理由は上の話と同じで、企業が切り出すショートは新規獲得の主力ではないからです。入口が1つ増えるだけのものに、配信量の増減をそこまで気にする必要がありません。
それに、企業のロング動画は、おすすめに乗るかどうかで価値が決まっていません。商談の前に送れる、採用候補者に見せられる、問い合わせの返事に添えられる。この使い方は、再生数がどうであれ成立します。同じ話をYouTubeのロング動画が伸びないのは失敗ではありません【見る数字は3つ】で詳しく書きました。
逆に、ショートの再生数だけを目的にしていた会社は、今回の更新で考え直すことになります。でもそれは、更新のせいではありません。元から他人の素材に乗っていた場合の話です。
では、企業は何を見ればいいのか
数字の見方も書いておきます。
パソコンのYouTube Studioで、左メニューの[アナリティクス]を開き、上部の[コンテンツ]タブを見てください。ヘルプ上の表記では、視聴者がそのコンテンツを見つけた経路が分かれて表示されます。ショート動画の場合は「ショート フィード」「YouTube 検索」「チャンネル ページ」「ブラウジング機能」「外部」などに分かれます。ショートの指標には「フィードで表示」という項目もあり、ショートフィードに表示された回数が出ます。
ただし、1つ注意があります。ここの数字を見て、今回の更新の影響が分かるわけではありません。適用開始日も評価期間も示されていないので、増減があってもその原因を特定できません。「先月より下がったから更新のせいだ」とは言えません。
見るべきなのは、ロング側の流入です
そこで、見る場所を変えます。
切り出したショートを出したあとに確認するのは、ショートの再生数ではなく、元のロング動画の視聴がどこから来ているかです。[コンテンツ]タブで経路を見れば、チャンネルページや関連動画からの流入が分かります。ショートを出した前後で、ロング側の入口がどう変わったか。見るのはそこです。
もう1つ、再生数より先に見てほしい数字があります。切り出したショートを営業や採用で実際に送った回数です。これは管理画面に出ません。社内で数えるしかありません。でも、企業にとってはこちらのほうが事業に近い数字です。
それでも線を越えるのは、どういうときか
自社素材なら何をしてもいい、という話ではありません。境目はあります。
線に近づくのは、自社の素材を使っていても、1本のロングから同じ場面を少しずつ切り方だけ変えて何本も出すような使い方です。テキストの位置を変えた、冒頭を1秒ずらした、という違いしかないショートを量産すると、説明や価値がほとんど無いものを大量に出している状態に近づきます。
判断の軸はこれです。見るべきなのは素材の出どころと、1本ごとに答えている質問が違うかどうかです。加工の量ではありません。
つまり、こう考えてください。
① 素材は自社のものか — 他人の動画を混ぜていないか
② 1本につき、答えている質問が1つあるか — 「この質問に答えている1分」になっているか
③ その1分だけで、意味が通じるか — 元の動画を見ていない人に届くか
この3つを満たしていれば、1本のロングから5本切り出しても、それは量産ではありません。5つの質問に答えた5本です。
逆に、①を満たしていても②がない切り出しは、出す意味がありません。更新のルール以前に、見た人が元の動画まで来ません。
僕たちができること
僕たちは、再生回数を伸ばすためだけの動画は作りません。商談の前に送れる、採用候補者に見せられる、問い合わせの返事に添えられる。そういう形で何度も使える動画を、企業の資料として残すところまで設計します。
切り出しも同じ順番で考えます。どの質問に答える1分を出すか、その1分からどのロングへ送るか。これを先に決めてから切ります。溜まったセミナー録画やインタビューが社内にあるなら、そこから何本取れるかの整理から入れます。ご依頼をいただいた場合は、毎月一緒に本数と内容を決めていく形です。
派手な演出よりも、内容が伝わることと、1年後も使えることを優先します。
この話の前後は、別の記事で書いています
切り出しの前と後について、それぞれ別の記事にしてあります。
まとめ:素材が自社なら続けてよい。確かめるのは公開範囲だけです
最後に整理します。
① 10月1日の更新で絞られたのは、他人の動画の再投稿。自社素材の切り出しは名指しされていない
② ヘルプには、自分のコンテンツを使った場合にペナルティを受けることはないと書かれている
③ 混ざりやすいルールは4つ。1つ目だけが「おすすめ」で、残り3つは「収益化」の話
④ 限定公開・非公開の動画からは切り出せない。元動画を消すとクリップも消える
⑤ 切り出したショートの役割は、ロングへの入口。見るのはロング側の流入
⑥ 線に近づくのは、1本ごとに答えている質問が違わないとき
今日できることを1つだけ挙げます。切り出したい元のロング動画を開いて、公開範囲を確かめてください。「公開」になっていれば、Studioの左メニューに[クリップとショート動画]があります。「限定公開」になっていたら、その動画からは作れないので、公開に切り替えるか、公開用を別に撮るかを決めるところからです。それだけ分かれば、今日の確認は終わりです。
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