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AI検索に引用される動画の長さは何分?【答えは10〜20分・でも気にしないでOK】
マーケティング担当者
『AI検索に引用されるには長い動画のほうがいいと聞きました。でも何分なら引用されるのかは誰も教えてくれなくて、社内で尺の目標が決まらないまま止まっています…』
こういった疑問に答えます。
本記事では、AI検索に引用される動画を作りたくて、1本あたりの動画の長さ(尺)を何分にするかで社内の意見が割れている広報・マーケティングのご担当者に向けて書いています。
先に結論を3つ出します。
- よく引かれる「AIに引用された動画の94%はロング動画」は、長い動画の話ではありません。ショートとして投稿したか、そうでないかの二分です
- 尺の分布は公表されています。ただし分布は引用された動画の構成比であって、「その尺で撮れば引用される率」ではありません
- この調査が相関として挙げているのは概要欄の長さとハッシュタグの有無、つまり動画の外側に置いたテキストのほうです。尺の目標値を決める材料は、この調査には含まれていません
この記事の要点
- 94%はショートかそうでないかの二分でしかない
- 尺の分布は出ているが、効き目を測った数字は無い
- 尺は話が入り切る長さで決める。目標値は要らない
結論:動画の長さ(尺)は、AI検索に引用されるために決める数字ではありません
いま社内で「AI検索に引用されるために動画を何分にするか」を議論しているなら、その議題は取り下げてかまいません。
根拠は1つです。この話の出どころになっているOtterlyAIのYouTube引用調査は、尺について分布を出しているだけで、尺が引用に効くかどうかを測った数字を出していません。分布と効き目は別のものです。前者は引用された動画を並べたときの構成比で、後者は「その尺で撮った動画が引用される確率」です。目標値を決めるのに必要なのは後者ですが、後者は見つけられませんでした。
この調査の規模は先に書いておきます。6つのAIサービス、1億件を超える引用の記録、30日分です。ChatGPT、Google AI Overviews、Google AI Mode、Perplexity、Microsoft Copilot、Geminiの6つが対象だと報じられています。数としては十分に大きい調査です。規模が足りないという話ではありません。問題は、この規模の集計からでも、尺の目標値を引き出す道が無いというところにあります。
では尺はどう決めるのか。答えは先に出します。尺は、その動画で答える質問が入り切る長さで決めてください。AI引用のためにこの数字を動かす根拠は、少なくともこの調査からは出てきません。
ここから先は、なぜそう言えるのかを順に書きます。先に1つだけ結果を出しておくと、この調査が相関の数値を出しているのは、動画の尺ではなく、概要欄の長さとハッシュタグの有無のほうでした。測られたのは動画の中身ではなく、動画の外側に文字として置いてあるものです。
94%の中身は、長い動画の話ではありません。ショートかそうでないかの二分です
まず、よく引かれる数値から片づけます。
AIに引用されたYouTube動画のうち、ロング動画が94%でショート動画が5.7%だった、という数値です。これは当ブログで以前に一度紹介しています。インフルエンサーマーケの効果測定は再生数ではない。見るべきは保存数とコメント数で、再生数が評価軸から外れつつあるという文脈の中で引きました。この調査が何を対象に何件を測ったのかも、そちらに書いてあります。
1つ訂正を入れておきます。その記事では「AI引用の94%はロング動画」と書きました。正確には、これはAIの引用全体に対する割合ではありません。AIがYouTubeを引用したとき、その引用のうち94%がロング動画だったという意味です。分母はYouTubeの引用の中です。AIの引用先はYouTubeだけではないので、ここを書き分けないと数字が大きく見えすぎます。
そのうえで本題です。報じられている内訳はこうなっています。
左の列を見てください。見出しを「動画の尺」とは書いていません。ここに並んでいるのは尺ではなく、投稿の区分です。ショートとして投稿されたか、通常の動画として投稿されたか、それ以外か。この3つに分けただけの表です。
つまりここでいうロング動画とは、ショートではないもの全部のことです。長い動画という意味ではありません。
言葉のせいで誤解が広がりました。日本語で「ロング動画」と言われると、どうしても「長い動画」と読んでしまいます。英語でもlong-formという区分名です。けれども区分の中身は、長さの基準ではなく投稿形式の違いです。2分で撮ってそのまま通常の動画として上げたものは、この表の中ではロング動画の側に入ります。
この読み替えができると、社内で決めることが1つに減ります。分数を何分に置くかではなく、その動画をショートとして上げるか、通常の動画として上げるかです。今日の表の上では、判断の分かれ目はそこにしかありません。
ここで1つ、当ブログが先に書いていた話に接続します。AI検索に引用されるYouTube。整えるべきは映像ではなくテキストでは、テキストとして残りやすいのはロングのほうで、理由は尺の長さがそのままテキストの量になるからだと書きました。この説明そのものは今も有効です。ただ、今日の数値を見ると、そこで言っていた「ロング」は量の話ではなく形式の話として集計されていた、ということになります。量が効いているという証拠には、この表はなりません。
尺の分布は出ています。ただし分布は「その尺で撮れば引用される率」ではありません
次に、尺のほうを見ます。引用された動画の尺の分布も報じられています。
表の扱い方を先に書きます。これは報じられている分布です。僕たちの手元で原典を開いて確かめたものではありません。しかも5分未満の行は、資料によって違う値が載っていて、どちらが正しいか決められませんでした。数字の出どころも、この調査のものだとする資料と、別の集計レポートに帰属させる資料があります。だから「5分未満の動画も相当数入っている」という程度の読み方に留めておくのが安全です。
それでも分かることはあります。引用された動画には、5分未満のものが無視できない量で入っているということです。長い動画だけが引用されているわけではない。表はそこまでは示しています。
逆の端も見てください。20分以上は17.6%で、4つの区分のうち最も小さい側です。長ければ長いほど引用されているという形には、この分布はなっていません。むしろ山は真ん中にあります。
そして、ここからが本題です。10〜20分が32.1%で最多でした。だから10〜20分で作ればいい、という話にはなりません。
理由を書きます。この表は、引用された動画を集めてきて尺で分類した構成比です。構成比が高いことと、引用されやすいことは別の話です。
分かりやすい例で言い換えます。ある病院の入院患者を年齢で分けたら、70代が最多だったとします。これは「70代になると入院しやすい」の根拠になるかもしれませんが、単に「その地域に70代が多い」だけでも同じ表になります。必要なのは、地域全体の年齢の分布です。それと比べて初めて、70代が多いのか少ないのかが言えます。
同じことが尺でも起きます。10〜20分が32.1%で最多だったとして、では世の中のYouTube動画全体のうち10〜20分は何%なのか。この分母は公開されていません。だから、10〜20分が多いのは単にその尺の動画が世の中に多いからだという説明が、排除できていません。仮に世の中のロング動画の35%が10〜20分だったとしたら、引用された側の32.1%はむしろ少ないほうです。
ここは理屈だけの話ではなく、社内の判断に直接効きます。「10〜20分が最多」を根拠に尺の目標を20分に置くと、入り切らない話を薄く伸ばすか、話が2つ入った動画になるかのどちらかになります。どちらも、あとから検索や社内で使いにくい動画です。
この調査が相関を出しているのは、動画の外側に置いたテキストのほうでした
では、この調査は何について効き目を測ったのか。相関として報じられている数値を並べます。
その前に1つだけ言葉の説明をします。相関は、2つの数字がどれだけ連動しているかを -1 から 1 までの値で表したものです。0 に近いほど連動していません。
右の列の見出しに注意してください。この調査の相関は、いずれも「繰り返し引用されること」との関係として報じられています。引用されるかどうかではなく、一度引用された動画がもう一度引用されるかどうか、です。これはあとの節でもう一度出てきます。
表に動画の尺が入っていないのは、書き忘れではありません。尺については、この調査が出しているのは先ほどの分布で、相関としての数値を僕たちは見つけられませんでした。だから表に載せていません。測られていないものを 0 として扱うこともできないので、空欄にもしていません。
並べると、何が起きているかが一目で分かります。登録者数、再生数、高評価数は、どれも 0 のすぐ近くでマイナス側に振れているだけです。人気の指標では引用の説明がつかない、ということになります。
一方で 0 からはっきり離れているのは、概要欄の長さの 0.31 と、ハッシュタグが付いているかどうかの 0.20 でした。どちらも動画の中身ではありません。動画の外側に、文字として置いてあるもののほうです。
ここで強調したいのは、施策の話ではありません。「だから概要欄を長く書きましょう」という結論に行くつもりは無いです。0.31 は弱い相関で、しかも因果ではありません。概要欄を伸ばせば引用されるという話にはなりません。それに、動画から出たテキストを整えるという論点そのものはAI検索に引用されるYouTube。整えるべきは映像ではなくテキストで書き切っていて、具体的な手順はYouTube動画をChatGPTに引用してもらう方法【裏技は存在無し】に全部置いてあります。今日その上に積むことはありません。
この並びを見て、「AIは映像ではなくテキストのほうを読んでいる」と説明している資料もあります。数字の整合としては、たしかにそう読めます。ただしGoogleやOpenAIがそう公表しているわけではありません。公式の見解は探しても見つかりませんでした。そう読めるというところまでで止めておくのが正確です。
今日この表を出した意味は、1つだけです。尺について数値が出ていない一方で、尺ではないほうには数値が出ている。この調査が測ったのはそちら側だった、ということです。尺の目標値を探しに来た人が、探しているものがそもそもこの調査に無いと分かる。それがこの表の役目です。
「うちは登録者が少ないから無理」は、この数字からは出てきません
もう1つ、企業の現場に直接効く読み方があります。
企業チャンネルで動画を続けるかどうかの議論になると、だいたい「うちは登録者が1,000人も居ないので」という話が出ます。再生数が3桁で止まっているから、AI検索の話も自分たちには関係ない、と。
その前提は、この表の上では成り立ちません。登録者が少ないことは、引用されない理由になっていません。登録者数の相関は -0.03 で、再生数も -0.03 です。引用された動画を集めて数えたら、どちらとも結びついていなかった、ということです。
ここは言い方に気をつけたいところです。「登録者が少ないほうが引用される」ではありません。マイナスが付いていますが、-0.03 は 0 とほとんど見分けがつかない値です。言えるのは、引用された動画の集まりを見ても登録者数や再生数との関係が見当たらなかった、というところまでです。
それでも、社内の議論の前提は1つ外れます。再生数が伸びていない動画が引用されていないとは限らない。この話はYouTubeのロング動画が伸びないのは失敗ではありません【見る数字は3つ】とつながります。そちらでは、ロングの再生数が伸びないのは失敗ではなく、深く残す役の1本まで再生数で採点しているのが原因だと書きました。今日の数値は、その残す枠に置いた動画が、伸びないまま引かれている側に入っていた、という補強になります。
同じ「AI」でも、面によって動画が引かれるかどうかが変わります
ここまで「AIに引用される」と書いてきましたが、この言い方は乱暴です。どのAIの中で引用されたのかで、話がまったく変わります。
先に分母を書きます。次の表は、AIがYouTubeを引用した記録を、どのサービスの中で起きたかで分けたものです。YouTubeの引用を100として、その内訳です。
合計が100%になりません。対象の6つのうち、Google AI Modeの値だけを確認できなかったので、行を落としてあります。欠けている分がどこに入るのかも、確認できていません。
それでも、割れ方は読み取れます。PerplexityとGoogle AI Overviewsの2つで、YouTubeの引用の大半が起きています。一方でChatGPTは4.4%です。日本で「AIに引用される」と言ったとき、多くの人が思い浮かべるのはChatGPTでしょう。ところがYouTubeの引用のうち、ChatGPTの中で起きた分は20分の1ほどしかありません。
この偏りは、日本を対象にした別の集計でも同じ向きに出ています。Ahrefsが日本のAI検索の引用元ドメインを集計した2026年9月版では、総合の1位は ja.wikipedia.org で、YouTubeは5位です。ところが同じ集計をAIごとに分けると、Googleの「AIによる概要」ではYouTubeが1位を保っていて、「AIモード」では2位でした。一方、ChatGPTとPerplexityではTOP10に入っていません。
総合で5位まで下がっているのに、面ごとに見ると1位と圏外が同時に起きている。順位が動いた理由には、ここでは立ち入りません。切り分けの材料として押さえておきたいのは、「AI検索で引用される」が1つの出来事ではないということです。
だから、社内で目標を立てるなら、どの面での露出を取りに行くのかを先に決めてください。Googleの検索結果の中のAIの回答を狙うのか、ChatGPTの会話の中に出たいのか。狙う面が違えば、動画が効く度合いも変わります。
タイムスタンプ付きの引用が出るのは、Googleの面だけです
面の違いをもう1つ。引用のされ方そのものが変わります。
AIの回答に動画が出るとき、再生位置を指定したタイムスタンプ付きで引かれることがあります。この形の引用が観測されたのは、Googleの「AIによる概要」が73%、「AIモード」が27%でした。ChatGPT、Gemini、Copilot、Perplexityでは観測されていません。
つまり、チャプターを打つ作業は、効く面が限られている作業です。やる価値が無いという話ではありません。やるなら、Googleの面を取りに行くという前提のうえでやる作業だと分かって進めてほしい、ということです。この話題の解説記事では「ロング動画にチャプターを打て」がセットで出てきますが、この条件は落ちています。
チャプターの付け方そのものには、ここでは踏み込みません。公式に決まっている条件はYouTube動画をChatGPTに引用してもらう方法【裏技は存在無し】に全部まとめてあります。
この数字で分かるのは、最初に選ばれた理由ではありません
ここが今日いちばん大事なところです。
この調査が対象にしたのは、既にAIに引用された動画だけです。この限定は、調査の内容として報じられている範囲でも繰り返し書かれています。引用されたことのない動画は、そもそも集計に入っていません。
何が起きるか。分かるのは「引用された動画が、なぜ繰り返し引用されるのか」までで、「どの動画が最初に選ばれるのか」は分からない、ということです。先ほどの相関の表が「繰り返し引用されることとの相関」になっていたのは、そういう理由です。
比喩で書きます。ある試験の合格者を集めて、勉強時間を聞き取った表があるとします。合格者のうち、1日2時間だった人がいちばん多かったとしましょう。ここから「2時間やれば受かる」とは言えません。不合格だった人の勉強時間が表に入っていないので、2時間やって落ちた人が何人いたのか分からないからです。分かるのは、合格した人たちの中で2時間の人が多かった、というところまでです。
今日の表はこれと同じ構造をしています。10〜20分が32.1%というのは、引用された動画の中での構成比です。10〜20分で撮って一度も引用されなかった動画は、この表に1本も入っていません。
だから、この調査から目標値を取り出すことは原理的にできません。できないことを、できるかのように書いているのが競合記事の側です。「10〜20分が最多だから長めに作れ」も、「概要欄を充実させれば引用される」も、同じ飛躍をしています。
引用そのものの読み方にも、留保が1つ付きます。AIの回答に動画のリンクが並んだことと、その回答の中身が動画から作られたことは、別の出来事です。引用元として並んでいても、回答の生成にその動画の内容が使われたとは限らない、という指摘が出ています。引用の件数を自社の成果として扱うときは、ここも割り引いて見ることになります。
もう1つ、同じ根から出る注意があります。ここに並んでいるのは全部、相関です。相関は2つの数字が連動していることを示すだけで、どちらが原因かは何も言いません。概要欄が長いから引用されたのか、何度も引用されるような動画だから概要欄も丁寧に書かれていたのか。この表では区別がつきません。
では動画の長さは何分にするのか。通して話した時間が、そのまま尺です
ここまで「調査からは決まらない」と書いてきました。では現場で何分と決めるのか。手順にします。
まず、その動画が答える質問を1つに決める
尺から決めようとすると必ず迷います。順番を逆にしてください。先に決めるのは、その動画が答える質問です。
「料金はいくらですか」「他社と何が違うのですか」「導入までどれくらいかかりますか」。営業で繰り返し聞かれている質問から1つ取ります。ここで2つ以上入れると、あとで尺が決まらなくなります。
台本を書く前に、一度通しで話してみる
質問が決まったら、その質問に口で答えてみてください。カメラでもスマートフォンの録音でもかまいません。原稿を作る前に、一度通しでやるのが要点です。
このとき出た時間が、その動画の尺です。4分で言い切れたなら4分、13分かかったなら13分。目標の分数に合わせて削ったり足したりしないでください。
3分で終わったなら3分です。ただし投稿する形式は別の判断です
「短すぎないか」と心配になると思いますが、短い動画が引用されていないというデータは今日1つも出てきていません。5分未満の動画も94%の中に入っています。3分で答え切れる質問なら、3分で出してください。
ただし注意が1つ。同じ3分でも、ショートとして投稿するか通常の動画として投稿するかは別の判断です。YouTubeのショートの上限は2024年10月15日に60秒から3分へ変わっていて、縦長か正方形であることが条件になっています。つまり3分の動画は、横長で上げれば通常の動画、縦長で上げればショートになり得ます。今日の表でロングの側に入るのは前者だけです。横長で撮って通常の動画として出す。それだけ決めておけば足ります。
通しで話せなかったら、尺ではなく構成を先に直す
通しでやってみて、途中で詰まって終われなかった場合です。これも尺の問題ではありません。その質問に対する自社の答えが、まだ言葉になっていないということです。
このときやることは2つです。詰まった箇所をメモして、社内でその部分だけを口頭で埋める。それから、もう一度通しでやる。原稿を書き起こして読み上げる形にしてもかまいませんが、先に分数を決めてから書き起こすのは順番が逆です。書けるようになった長さが、その動画の尺です。
20分を超えたら、質問が2つ以上入っていないか見る
逆に、通して話したら25分になったという場合です。これは尺の問題ではなく、質問が1つに絞れていない可能性が高いです。
話した内容を書き出して、質問に分けてみてください。2つに分かれるなら、2本に分けたほうが使いやすくなります。1本ずつが「何の話か」で言い切れる形になるからです。20分を超えてはいけないという決まりはありません。ただ、長くなった原因は尺の設定ではなく、企画の側にあります。
『いやいや、結局ショートは無駄ってことでしょ』→ 引用という一点だけの話です
ここまで読んで、ショートを止めようと思った方がいるかもしれません。それは違います。
今日の数値が言っているのは、AIの回答の材料として選ばれた場面で、ショートの占める割合が小さかったということだけです。ここまで書いてきたとおり、割合が小さいことと引用されにくいことは別の話です。ショートが引かれやすいかどうかを測った数字も、この調査には出ていません。
当ブログは企業のYouTubeの教科書【内製化vs外注】で、ショートは拡散の入口でロングは資産だと書きました。役割が違うという整理です。今日の数値は、この整理と矛盾しません。むしろ、資産の側に置いた動画が実際にAIから引かれていた、という裏付けになります。
仮にショートが引かれにくいのだとしても、それはショートが劣っているからではありません。ショートが担っている仕事が、AIに読ませることではないからです。知らない人の前に出る役と、聞かれたときに答えとして出てくる役は、別の役です。
だから今日の話は、ショートを減らせではありません。分かれ目は長さではなく、ショート1本で終わらせたかどうかのほうです。ショートだけを月に何本も出していて、通常の動画が0本という状態だと、引用の大半が起きている側に、自社の動画を1本も置いていないことになります。月に1本でもいいので、通常の動画を混ぜてください。
確かめきれていないことを5つ書いておきます
今日の話には、確かめきれていないところがあります。隠さずに書きます。
1つ目。何分以上をロング動画と呼ぶのか、その分数がどこにも公開されていません。この調査がどこで線を引いたのかは分かりません。しかもYouTube自身のショートの上限が2024年10月15日に変わっているので、集計の時期によって線の位置が動く余地もあります。
2つ目。尺の分布の出どころが確定していません。この調査の数値だとする資料と、別の集計レポートの数値として紹介している資料があります。加えて5分未満の行は、資料によって違う値が載っていて、どちらが正しいか決められませんでした。だから本文では、分布の形までを読み取って、個別の数字に寄りかからない書き方にしてあります。
3つ目。相関がそれぞれ何に対する相関なのかが、資料の間で割れています。繰り返し引用されることとの関係だと説明している資料と、引用される頻度との関係だと書いている資料があります。本文では前者で揃えましたが、断定はできません。
4つ目。この調査の対象になった国と言語が公開されていません。だからこれを日本のデータだとは書けませんし、日本以外のデータだとも書けません。日本を対象にした尺の集計は、探しても見つかりませんでした。
5つ目。同じ結論を出した独立の調査を見つけられませんでした。似た数値を載せているレポートはありますが、同じデータを引き写した可能性があります。つまり「ロングのほうが引用される」は、いまのところ1つのデータセットに乗った話です。
そして全体に掛かる限定として、僕たちは今回この調査の原典そのものを開けていません。報じられている範囲を突き合わせて書いています。だから数値の桁や細かい表現には、ずれが残っている可能性があります。
例外:この話が向かない会社もあります
今日の話が当てはまらない場合を書いておきます。
1つ目は、まだ動画が1本も無い会社です。尺を何分にするかより、1本目に何を答えるかのほうが先です。社内で尺の議論をしている時点で、順番が1つずれています。
2つ目は、ChatGPTの中での露出だけを目的にしている会社です。YouTubeの引用のうちChatGPTの中で起きた分は4.4%でした。日本の集計でもTOP10の外です。その面を取りに行くなら、動画より先に自社サイトのテキストを整えるほうが筋が通ります。
3つ目は、商品が映像でしか伝わらない会社です。施工の工程、機械の動き、料理の手順など。この場合、動画の価値はAIに引用されることとは別のところにあります。尺はお客さんが見て分かる長さで決めてください。
4つ目は、動画をすでに数十本以上持っている会社です。これから撮る動画の尺を決めるより、既にある動画のタイトルと概要欄を見直すほうが、手を動かす先として効きます。新規の撮影より棚卸しが先です。
5つ目は、AIに引用された回数を社内の報告に載せたい会社です。YouTube Studioの標準の画面では、動画についてその数を数えられません。何をどこまで追えるのかはAI検索の効果測定は何を見る?【動画が引用された先を追いかける】に書いてあります。報告の形から先に決めてください。
今日のアクション:次の1本の尺を、通しで話した時間で決める
やることは3つです。
1つ目。次に撮る動画が答える質問を1つ決めて、紙に書いてください。営業で先月いちばん聞かれた質問が最短です。2つ書いたら、1つ消してください。
2つ目。その質問に、スマートフォンの録音で答えてみてください。原稿は作らないでください。出た時間をメモします。それが次の動画の尺です。4分でも18分でもかまいません。横長で撮って、通常の動画として出すところまでを決めておきます。
3つ目。社内で尺の目標値が決まっているなら、その数字の出どころを確認してください。「10〜20分が多いというデータがあるから」だった場合、その根拠はこの記事のとおり成立していません。目標値を外す提案をしてください。
やらなくていいことも書きます。概要欄を長く書き直す作業は、今日は要りません。相関は出ていますが、長さを足せば引用されるという話ではないからです。すべての動画にチャプターを打ち直す作業も、今日は要りません。効く面が限られているからです。
もっと知りたい方へ:AI引用まわりは、論点ごとに分けて書いてきました
まとめ:動画の長さ(尺)は、AI検索のために決める数字ではありません
3つに圧縮します。
1つ目。「AIに引用された動画の94%はロング動画」は、長い動画の話ではありません。ロング動画、ショート動画、再生リストやチャンネルやライブ配信という3つの区分に分けて集計した結果で、ロングとはショートではないもの全部のことです。分母も、AIの引用全体ではなくYouTubeの引用の中です。
2つ目。尺の分布は出ています。10〜20分が32.1%で最多でした。ただしこれは引用された動画を尺で分類した構成比です。世の中の動画全体の尺の分布が公開されていないので、その尺が引用されやすいのかは分かりません。しかも対象は既に引用された動画だけなので、最初に選ばれた理由は原理的に取り出せません。一方でこの調査が相関として出しているのは、概要欄の長さの 0.31 とハッシュタグの有無の 0.20 でした。どちらも動画の外側に置いたテキストです。
3つ目。だから尺は、話が入り切る長さで決めてください。手順は、答える質問を1つに決めて、原稿を作る前に一度通しで話して、出た時間をそのまま尺にする。4分なら4分、18分なら18分です。横長で撮って通常の動画として出すところまで決めれば、今日の表でロングの側に入ります。
ついでに、社内の前提が1つ外れます。登録者数と再生数の相関は -0.03 でした。登録者が3桁のチャンネルでも、引かれる側に回る余地はあります。
尺の目標値を決める会議をしているなら、それは今日で終わりにして、次の1本が答える質問を決める会議に替えてください。そのほうが早く進みます。
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