BLOG
AI検索に引用されるYouTube。整えるべきは映像ではなくテキスト
マーケティング担当者
『AIが引用しているのはYouTubeが一番多いらしい。ということは、うちも動画を出せばAIに拾ってもらえるってこと…?』
こういった疑問に答えます。
本記事は、AI検索やAIO対策に関心のある経営者・マーケティング担当者の方に向けて書いています。
結論から言うと、AIが読める形で残っているのは映像ではなく、動画から生成されたテキストです。タイトル、概要欄、チャプターの見出し、そして文字起こし。つまり企業が整えるべきなのは、映像の上手さではなく「中身がテキストとして読める状態か」のほうです。
この記事の要点
- 日本でAIが引用するドメインの総合1位はYouTube(Ahrefs調査・2期連続)
- ただしAIが読める形で残っているのは映像ではなく、動画から生成されたテキスト(AI側の処理方法は非公表)
- 今日やることは5つ。1本1テーマ/冒頭30秒で結論/概要欄に要約とチャプター/自社サイトに埋め込む/繰り返し聞かれる質問を1本にする
CVOは、企業のYouTube運用と動画制作を支援している会社です。このブログではAIO(生成AIやAI検索に、自社が何者で何に詳しい会社なのかを理解してもらうための情報設計)の基本を解説してきました。本記事はその実践編です。
結論:AI検索が引用する日本のドメイン、総合1位はYouTube
日本でAIが引用するドメインの総合1位はYouTubeで、しかも2期連続の首位です。Ahrefsが2026年7月に公開した「AIが引用する日本のドメインランキング 2026年6月版」によるものです。
この調査は、Ahrefs自社のAI検索可視化ツール「Brand Radar(ブランドレーダー)」のデータをもとに、ChatGPT、AIモード(Google AI Mode)、AIによる概要(Google AI Overviews)、Perplexity、Microsoft Copilotという5つの主要AIプラットフォームが引用したドメインを分析したものです。
ただし、5つのうちAIモードとAIによる概要はどちらもGoogleの機能で、YouTubeもGoogle傘下です。「あらゆるAIが公平にYouTubeを選んでいる」と読むのは行き過ぎです。
2位はnoteで、前回5位から急上昇しています。
もう一つ注目したいのが、順位の動きの速さです。同調査では、2026年4月の前回調査からわずか2ヶ月で、総合TOP10のうち4ドメインが入れ替わっています。新しくランクインしたのはReddit、Yahoo!知恵袋、my-best、楽天市場です。
つまり、AIが何を参照するかは、まだ固まっていません。とはいえ、その入れ替わりの激しさの中で、YouTubeは2期続けて首位に居続けている。ここは押さえておきたい事実です。
整えるべきは映像ではなく、動画から起こされたテキスト
動画のプラットフォームがAIに引用されるのは、動画が公開と同時に大量のテキストを生み出しているからです。
多くの記事はここを「動画が強い時代だ」で終わらせます。ただ、少し立ち止まってみてください。映像そのものを入力として扱えるAIも出てきていますが、AI検索が引用元として示すのは、いまのところページやテキストの単位です。
動画は公開された時点で、映像とは別にこれだけのテキストを生み出しています。
- タイトル
- 概要欄の説明文
- チャプターの見出し
- 自動的に行われる文字起こし
YouTubeに動画を公開すると、裏側では音声から自動的に文字起こしが生成されます(対応言語や音声の状態による条件はあります)。話した内容が、読めるテキストとして存在するわけです。
つまり、動画は「映像」と「テキスト」の二重構造になっている。そして引用元として扱いやすい形で存在しているのは、後者です。
ここを踏まえると、やることの優先順位が変わります。カメラや編集の質より、「話した内容が、文字にしたときに読んで分かるか」のほうが先に来るということですね。
なお、AIがその文字起こしをどう扱い、どう評価しているのかは公表されていません。断定はできません。ただ、「動画からテキストが生成されている」ことは事実なので、そのテキストが読んで意味の通る状態になっているかを整えておく価値はあるはずです。
『動画を出せばAIが拾う』は誤解。読めない文字起こしは引用されない
動画を出せばAIが拾ってくれる、というのが一番多い誤解です。動画を出すこと自体はスタート地点にすぎません。理由は、テキストになった瞬間に「読めない動画」がはっきり分かれてしまうからです。
たとえば、こういう動画です。
- 冒頭2分が挨拶と雑談で、結論が終盤にしか出てこない
- 「これ」「あれ」「こんな感じ」で話が進み、文字にすると何の話か分からない
- 概要欄が全動画で同じ定型文になっている
- 1本の中に5つのテーマが詰め込まれている
- タイトルが「社長対談 #12」のように、内容を示していない
これを文字起こしにすると、話題の切り替わりが分からず、主張も特定できないテキストになります。人間は映像や表情、場の空気で補って理解できますが、テキストだけを読む相手には伝わりません。
繰り返しですが、やるべきは映像を豪華にすることではなく、中身をテキストとして読める形に整えることです。
動画のチャプターと構造化データ:Googleは「どこに何があるか」を扱おうとしている
「中身を構造で示す」という方向性については、Googleの公式ドキュメントにヒントがあります。
Google検索セントラルの「動画の構造化データ」公式ドキュメント(2026年7月時点)では、「key moments(キーモーメント)」という機能が説明されています。Googleはこれを、本の章のように動画のセグメントを移動できる機能だと説明しています。
そして有効化の方法として、公式に2つの方式が示されています。
①Clip構造化データ:各区間の開始時刻・終了時刻と表示ラベルを自分で指定する方式。Google検索が利用できる全言語で対応
②SeekToAction構造化データ:URL構造の仕組みを伝えることで、Googleが自動的にkey momentsを特定し、その位置にリンクする方式。日本語を含む12言語で対応
念のため補足しますが、これは自社サイトに置いた動画ページをGoogleに理解させるための公式仕様です。YouTube側のチャプター機能がこの仕組みで動いている、という話ではありません。
Googleが公式に示しているのは有効化の手順までで、構造化すれば理解されやすくなると保証しているわけではありません。とはいえ、区間ごとに何があるかを示す仕組みを公式に用意している以上、検索する側が「動画の中のどの位置に、何があるか」を扱おうとしていることは読み取れます。
ショートとロング、テキストとして残りやすいのはどちらか
テキストとして残りやすいのはロング動画です。理由は、尺の長さがそのままテキストの量になるからです。
ショート動画は再生されやすく、反応も得やすい。入口としては優秀です。とはいえ、数十秒の中に入る言葉の量には限りがあります。
一方、ロング動画なら、前提・理由・具体例・注意点まで一続きで話せます。文字起こしにしたときの情報量が違うので、会社の知見をまとまった形で残すならこちらです。
好みの問題ではなく、構造の話です。どちらが優れているかではなく、役割が違うということですね。
AIO対策としてYouTubeを整える5つのステップ
やることは5つです。今日から着手できる順に並べます。
①動画のテーマを1本1つに絞る
1本の動画で扱う問いを1つにします。判断基準はシンプルで、「この動画は〇〇について答えている」と一文で言えるかどうかです。言えないなら、テーマが多すぎます。
②冒頭30秒で結論を言い切り、文字起こしの先頭に答えを置く
「本日は〇〇についてお話しします」ではなく、結論そのものを最初に言ってしまいます。文字起こしの冒頭に答えが載っている状態を作る、ということですね。挨拶と自己紹介は結論の後で十分です。
③概要欄に要約とチャプターを書く
概要欄の先頭に3〜5行の要約を置き、そのうえでタイムスタンプ付きの見出しを並べます。見出しは「まとめ」のような汎用語ではなく、「導入費用の考え方」のように中身が分かる言葉にしてください。
④自社サイトに埋め込み、要約・要点・FAQを同じページに並べる
5つの中で、自社でコントロールできる範囲が最も広い作業です。動画を自社サイトの記事に埋め込み、その周りに要約、要点の箇条書き、FAQを本文テキストとして置きます。動画とテキストが同じページで同じことを説明している状態です。
自社サイトなら、見出しの付け方も文章の中身も自分で決められます。YouTube側の仕様変更を待たずに手を入れられる、というのがこの作業の利点です。
置く順番は、動画→3行程度の要約→要点の箇条書き→FAQ。ページを開いた人が動画を再生しなくても内容が分かる状態にしておけばOKです。
先ほど触れたClip構造化データやSeekToAction構造化データも、まさにこの「自社サイトに置いた動画ページ」で使う仕様です。章立てまで手を入れられるのは、ここだけということですね。
⑤繰り返し聞かれる質問を1本にまとめる
テーマ選びの基準もシンプルで、商談や問い合わせで何度も聞かれる質問から選びます。実際に何度も聞かれている質問は、同じ問いがAIにも投げられている可能性が高いテーマかなと思います。
もちろん、これをやればAIに引用されると保証できるものではありません。あくまで、参照される可能性を高めるための土台づくりです。
AIに読まれる形に整えた動画は、そのまま商談で使える
ここまでの話には副産物があります。1本1テーマで、冒頭に結論があり、どこに何の話があるか分かる動画は、そのまま「送りやすい動画」の条件を満たしているからです。
僕たちがおすすめしているのは、次の2つの使い方です。
- 商談前:「事前にこちらをご覧ください」と動画を送っておく
- 商談後:「ここは代表がこちらの動画で詳しく説明しています」と補足で送る
資料をAIで整えるのが当たり前になった今、差がつくのは、話す人の表情や声の温度感まで届けられる部分かなと思います。AIには読める形で届け、人には温度感で伝える。同じ1本でこの両方をやれるのが、動画の面白いところです。
動画の設計から相談したい場合
「考え方は分かったけれど、社内でここまで整える余力がない」。ここで止まってしまう会社は多いです。
CVOは、企業のYouTube運用、インフルエンサーマーケティング、動画編集者育成を手がける会社です。チャンネル登録者1,400万人のYouTubeチャンネル「NAS DAILY」の専属編集経験をもとに、これまでに1,000本以上のロング動画を制作してきました。VSEO(動画の検索最適化)戦略に基づくチャンネル設計から制作まで、一貫して担当しています。
今回の話に沿って言うと、僕たちが撮影より先に決めているのは「この1本は、どの質問に答える動画なのか」です。そこが決まっていれば、話す順番も、概要欄に書く要約も自然に決まります。テーマの切り出し方から相談したい方は、Worksをご覧ください。
まとめ:AIが読める形で残るのはテキスト。だから中身を読める形にする
AIが読める形で残っているのはテキストなので、やるべきは中身を読める形に整えることです。まとめます。
①Ahrefsの調査では、日本でAIが引用するドメインの総合1位はYouTube(2期連続)
②ただしAIが読める形で存在しているのは映像ではなく、動画から生成されたテキスト
③動画を出すだけでは足りない。1本1テーマ、冒頭で結論、概要欄に要約とチャプター
④自社サイトに埋め込み、本文テキストと並べて置く
⑤テーマは、商談や問い合わせで繰り返し聞かれる質問から選ぶ
総合TOP10が2ヶ月で4つ入れ替わる世界なので、どこが引用されるかを当てにいくのは筋が悪いかなと思います。僕たちができるのは、自社の説明を「読んで分かるテキスト」として置いておくことです。
そして、そうやって整えた動画は、AIに向けた対策だけで終わりません。商談でも採用でも使える説明資料として、会社の中に残っていきます。伸ばすためだけの1本ではなく、残る1本にしておく。そう考えると、この作業は無駄になりません。
まずは、公開済みの動画を1本開いて、文字起こしを表示してみてください。それを読んで内容が分かるかどうか。そこが出発点です。参考にどうぞ。
よくある質問
関連記事
お問い合わせ
動画制作・YouTube運用に関するご相談は、以下のフォームからどうぞ。
