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会社のYouTubeチャンネルを会社名義にする方法【権限付与と退職時の引き継ぎ】
YouTube担当者
『会社のYouTubeチャンネル、前の担当者が自分のGoogleアカウントで作ったままなんです。その人はもう辞めていて、いま社内の誰もログインできません。これって、もう会社では触れないんでしょうか…』
こういった疑問に答えます。
本記事では、社内でYouTubeを始めた企業の広報・マーケティング担当の方、これから始めようとしている経営者、そしてログイン情報を全員で共有していることに不安がある方に向けて書いています。
結論から書きます。動画を資産と呼べるかどうかは、中身より先に「誰の名前で持っているか」で決まります。
チャンネルは、パスワードを共有しなくても会社として持てます。YouTubeがそのための仕組みを用意しています。今日はその話です。
この記事の要点
- チャンネルはブランドアカウントで会社として持つ
- パスワードを配らなくても複数人で管理できる
- 所有者を1人にしない。もう1名を必ず入れる
企業のYouTubeチャンネルが「個人のもの」になる3つのパターン
企業のチャンネルが個人のものになるパターンで、代表的なのは次の3つです。
①前の担当者が自分のGoogleアカウントで作り、その人が辞めた
②ログイン情報を紙やチャットで共有し、何人もが同じアカウントで入っている
③外注先が代わりに作り、そのままになっている
まず①です。とりあえず作らないと何も進まないので、その場にいた人のアカウントで作ります。悪気は一切ないですし、そのときは正しい判断です。
問題が出るのは、その人が異動したり退職したりしたときだけです。ところが、そのタイミングはいつか来ます。
②は、①を回避しようとして起きます。一人しか入れないのは危ないから、IDとパスワードを共有フォルダに置いておく。ただ、これは危険を増やす方向です。誰が入ったのか分からなくなり、辞めた人の手元にもログイン情報が残ります。
③は、立ち上げを外注した場合に起きます。制作会社や編集者が段取りよく作ってくれて、そのまま数年経つ形です。取引が続いている間は何も起きません。ただ、アクセス権が外注先の側にしかないまま取引が終わると、会社は自社のチャンネルに入れなくなります。外注先との関係が続く前提で組まないほうがいいことは動画編集の外注先が突然いなくなる理由と、長く組む発注のしかたにも書きました。
3つに共通しているのは、動画は会社のものなのに、チャンネルは個人のものになっているという状態です。
昨日の企業のYouTubeの教科書【内製化vs外注】で、社内で回せる形にしようという話を書きました。ただ、社内で回すと決めたときに最初に整えるべきなのは、カメラでも編集ソフトでもありません。このアカウントの持ち方です。
チャンネルの持ち方は2通り。ブランドアカウントなら複数人で管理できる
YouTubeヘルプ「YouTubeチャンネルを管理する」によると(2026年8月時点)、YouTubeチャンネルの持ち方は2通りです。個人のGoogleアカウントにリンクするか、ブランドアカウントにリンクするかです。
冒頭の担当者が困っているのは前者です。個人のGoogleアカウントに直接ぶら下がっているので、そのアカウントに入れる人しか触れません。
一方のブランドアカウントは、Googleアカウントとは別に名前を持てる入れ物です。同じヘルプによると、ブランドアカウントにリンクすると、Googleアカウントとは別の名前をチャンネルで使えます。個人名のアカウントで作っても、チャンネル名は会社名にできます。
ただ、本題は名前ではありません。同じヘルプによると、複数のGoogleアカウントでブランドアカウントを管理・所有でき、そのために別のユーザー名やパスワードを用意する必要はありません。
つまり、社員それぞれが自分の会社アカウントのまま、同じチャンネルを触れます。共通のアカウントを1つ作って回す必要がありません。
企業がYouTubeを始めるとき、ここを最初に決めておくかどうかで、担当者が入れ替わったあとの状態が変わります。
チャンネル開設そのものの段取りは企業のYouTubeの始め方。1本目は営業で使える動画にすべき理由に書きました。時間をかけるべきなのは、作業ではなく、どちらの形で持つかの判断のほうです。
パスワードを配るのをやめる。チャンネルの権限という仕組み
YouTubeには、パスワードを渡さずに操作だけを分け与える「チャンネルの権限」という機能があります。誰にどこまで触らせるかは、この機能で決めます。

YouTubeヘルプ「チャンネルの権限機能を使用してYouTubeチャンネルへのアクセス権を追加または削除する」によると(2026年8月時点)、チャンネルの権限機能を使うと、チャンネル所有者のGoogleアカウントにアクセスすることなく、複数のユーザーに5つの異なるレベルの権限を付与してチャンネルを管理できます。
大事なのは「所有者のGoogleアカウントにアクセスすることなく」の部分です。アカウントそのものを渡さずに、チャンネルの操作だけを分けられます。
権限が5段階に分けられているのも、企業には効きます。動画を編集してくれる外部の人に見せる範囲と、経営者が数字を見る範囲は違うはずです。どのレベルで何ができるかは、同じヘルプに書かれています。誰にどのレベルを渡すかは、それを見ながら決めてください。
そして同じヘルプでは、他のユーザーに権限を付与するほうが、パスワードなどの機密性の高いログイン情報を共有するより安全だと案内されています。
これはYouTube側がはっきり書いていることです。ログイン情報を配って回すより、権限を付与するほうが安全だと、YouTubeが公式に案内しています。
もう1つ、企業にとって重要な仕様があります。同じヘルプによると、チャンネルへのアクセス権を持っているユーザーの名前とメールアドレスを確認できるのは、管理者と所有者だけです。
つまり、この一覧を見られるのは、権限を渡す側に立っている人だけということです。
一方、1つの共有アカウントを全員で回している状態では、そのアカウントで誰が入ったのかまでは分かりません。会社が把握できるのは「誰かが入った」ところまでです。
所有者を1人にしない【メインの所有者になるには7日かかる】
所有者は2人以上にしてください。ここは強くおすすめします。なお、ここでいう所有者は、ブランドアカウントの設定側にある「メインの所有者」のことです。ここまで書いてきたYouTube Studioのチャンネルの権限とは、設定する場所が違います。
YouTubeヘルプ「ブランドアカウントでチャンネルの所有者と管理者を変更する」によると(2026年8月時点)、所有者が最も多くの操作を実行でき、どのユーザーがアカウントを管理するかを制御できます。そしてアカウントには、メインの所有者を1名設定する必要があります。
ここまでは、多くの人が想像するとおりです。責任者を1人決める、という話ですよね。
問題はその先です。同じヘルプでは、メインの所有者1名だけでなく、少なくとももう1名、他の所有者をアカウントに関連付けておくことが推奨されています。
所有者が1人しかいない状態は、その1人に連絡が取れなくなった瞬間に、社内の誰も所有者になれない状態へ変わります。
しかも、すぐには戻せません。同じヘルプによると、ある所有者が自分をメインの所有者に割り当てるには、その人が所有者として追加されてから7日間以上経過している必要があります。
この7日間という数字を覚えて帰ってください。退職の前日に気づいても間に合いません。
先に2人にしておけば、何かが起きたときに社内でそのまま引き取れます。起きてから追加しても手はありますが、7日間は待たされます。動くなら今日です。
動画が数本しかない会社ほど、いま整えたほうが早い
『いやいや、うちはまだ数本しか出していませんよ』。そう思われたはずです。もっともな話です。動画が3本しかないチャンネルの権限を整えるより、4本目を撮ったほうがいいのは確かです。
ただ、この作業が本数の増加で楽になることはありません。むしろ逆です。動画が溜まり、概要欄にリンクを貼り、サイトに埋め込んだあとになるほど、名義を直す作業は重くなります。触っている人も増えます。
僕たちが企業のYouTube制作を多数支援してきた実感として、最初はやる気があっても、撮りためた動画のストックがなくなって途中で更新が止まる会社は多いです。更新が止まれば、名義を直す機会も来ません。誰も見なくなったチャンネルは、次に必要になったとき「これ、どうやってログインするんだっけ」から始まります。
動画がまだ数本のうちなら、確認する範囲も、関わっている人の数も少なくて済みます。それだけの話です。
今日やること3つ。一覧を開く→棚卸し→所有者を2人にする
手順は3つです。
①チャンネルの管理画面であるYouTube Studioの設定から、チャンネルの権限の一覧を開き、いま誰がアクセスできるかを確認する
②退職者・元外注先など、いま関わっていない人を、その一覧から外す
③ブランドアカウントで持っている場合は、その設定を開き、社内でもう1名を所有者として関連付ける
①②はYouTube Studio、③はブランドアカウントの設定と、開く場所が違います。③だけは別画面です。そして、チャンネルが個人のGoogleアカウントにぶら下がっている場合、ブランドアカウントの設定そのものが存在しません。その会社は①②までで止めてください。入れ物を移す判断は、このあとの注意を読んでからにしてください。
まずは①だけでいいので開いてください。数年前に手伝ってもらった編集者、辞めた人の個人アドレス。この一覧は、開いてみるまで中に誰がいるか分かりません。
②で外すときは、いま進行中の制作に関わっている人を巻き込まないよう、誰が何のために入っているかを1人ずつ確認してから外してください。
そしてもう1つ、②には順番があります。一覧に残っている前任者や元外注先が、いまの唯一の所有者や管理者になっていることがあります。その人を先に外すと、会社側が管理権限を取り戻せなくなります。社内の人を所有者として追加し終えるまで、既存の所有者と管理者は外さないでください。外すのは、いつでも自社で入れる状態を作ったあとです。
すでにブランドアカウントで運用している場合
この場合は1つ前段階があります。YouTubeヘルプ「ブランドアカウントのユーザーアクセス権からチャンネルの権限に移行する」によると(2026年8月時点)、ブランドアカウントを所有している場合は、チャンネルの権限を使用するよう切り替えてから、アクセス権を追加・削除する必要があります。
もう1つ、事故を防ぐための注意です。焦ってチャンネルそのものを動かさないでください。
YouTubeヘルプ「YouTubeチャンネルをブランドアカウントから別のブランドアカウントに移行する」によると(2026年8月時点)、チャンネルを別のブランドアカウントへ移行できるのは、同じGoogleアカウントに関連付けられている場合に限られます。
そして同じヘルプは、移行先のアカウントにすでにチャンネルがある場合、そちらのチャンネルと、それに関連付けられた動画・コメント・メッセージ・再生リスト・履歴などがすべて完全に削除されると注意しています。誤った移行で違うチャンネルを消してしまうおそれがあるため、必要な場合にのみ行うようにとも書かれています。
消えるのは、移行先にもともとあったチャンネルのほうです。ここは取り返しがつきません。
だから今日は、入れ物そのものを動かす操作には手をつけないでください。やるのは、権限の一覧を開いて棚卸しするところまでです。移行が必要かどうかは、いま誰がアクセスできるかを把握してから判断できます。
退職時の引き継ぎ方法。辞めると決まった日から動きます
担当者の退職が決まったときにやることを、順番どおりに書きます。引き継ぐのはアカウントではなく、権限です。IDとパスワードを後任に渡す必要はありません。
やることは6つです。上から順に潰してください。
退職時の引き継ぎ チェックリスト
| ✓ | いつ | 確認すること |
|---|---|---|
| ☐ | 退職が決まったら | 退職する人が持っている権限を確認したか(YouTube Studioの権限の一覧と、ブランドアカウントの所有者の2か所) |
| ☐ | 退職が決まったら | チャンネルが個人のGoogleアカウント名義のままになっていないかを確認したか |
| ☐ | 最終出社日の1週間以上前 | 後任ともう1名を、所有者として追加したか |
| ☐ | 最終出社日の1週間以上前 | 追加した人がメインの所有者になれる状態か(追加から7日)を確認したか |
| ☐ | 最終出社日 | 新しい所有者を立てたあとで、退職する人の権限を外したか |
| ☐ | 最終出社日 | 外注の編集者やパートナーで、いま関わっていない人を一覧から外したか |
以下、順に補足します。
まず、その人が何を持っているかを確認します。見る場所は2つです。YouTube Studioの設定にあるチャンネルの権限の一覧と、ブランドアカウントの設定にある所有者です。前者は日々の操作をする人、後者はチャンネルそのものを持っている人です。退職する人が後者に入っているかどうかで、やることが変わります。
次に、後任を追加します。ここで効いてくるのが、前に書いた7日間です。所有者として追加された人がメインの所有者になるには、追加から7日間の待ちがあります。最終出社日の前日に動いても間に合いません。退職が決まった日、遅くとも最終出社日の1週間以上前に追加してください。
このとき、後任1人だけにしないでください。後任ともう1名、合わせて2名にします。1名だけに戻すと、次に同じことが起きたときにまた同じ問題が出ます。
最後に、退職する人の権限を外します。順番が大事です。先に新しい所有者を立ててから、前の人を外してください。先に外すと、社内の誰も所有者になれない状態が生まれます。日付でいうと、追加が最終出社日の1週間以上前、削除が最終出社日です。
外注の編集者やパートナーが契約終了になるときも、同じ手順で構いません。権限の一覧に残ったままになりやすいのは、むしろこちらです。
1つだけ注意があります。退職する人の個人のGoogleアカウントでチャンネルが作られている場合、権限を足すだけでは会社のものになりません。この場合はまず名義の確認が必要です。そして前の節に書いたとおり、入れ物そのものを動かす操作には手をつけないでください。動かす必要があるかどうかを判断するところまでが、その日にやることです。
退職済みで、すでに社内の誰も入れない場合
冒頭の担当者のような状態についても書いておきます。
前の担当者と連絡が取れるなら、その人にチャンネルの権限で社内の誰かを追加してもらうのが最短です。アカウントそのものを渡してもらう必要はありません。頼む側の心理的なハードルも下がります。
連絡が取れなくなってからだと、打てる手はかなり限られます。だからこの作業は、まだ入れる人がいるうちにしか終わりません。入れる状態に戻せたら、その時点で所有者を2人にしておいてください。
まとめ
今日の結論です。チャンネルは、パスワードを共有せずに会社として持てます。個人のGoogleアカウントで作ったままのチャンネルは、まだ会社の資産になっていません。
持ち方は2通りで、複数人で管理するならブランドアカウント側です。所有者は1人にせず、もう1名を関連付けておく。メインの所有者になるには7日間かかるので、事故が起きてからでは遅いです。
このブログの原点になった企業のYouTubeは再生回数より動画資産化。AIO時代の運用戦略という記事があります。担当者が変わっても会社の知識が残るのがロング動画の強さだ、という話です。
その前提が、今日の内容です。担当者が変わっても知識が残るのは、チャンネルに入れる場合だけです。名義が個人のままなら、残るのは会社ではなく個人の手元です。
公開済みの動画を手入れする話は公開したYouTube動画を放置しない【半年に一度の棚卸しでやること6つ】に書きました。半年に一度その日を取っているなら、権限の一覧を開く作業も同じ日に入れてください。開いて確認するだけなので、棚卸しの手間はほとんど増えません。
まずは、いま誰がアクセスできるかを見るところから。どうぞ。
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