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SEO1位でもクリックされない。AI時代に見るべきは「引用」

02 土台
SEO1位でもクリックされない。AI時代に見るべきは「引用」
監修者 木村太一(株式会社CVO 代表取締役)

監修者

木村太一 / 株式会社CVO 代表取締役木村太一のInstagram

チャンネル登録者1,400万人「NAS DAILY」の専属編集者。国内外多数のクリエイター・企業の動画制作に携わり、これまでにロング動画1,585本・ショート動画2,450本を制作。「伸ばすだけで終わらせず、事業に残す」動画づくりを信条に、企業のYouTube運用を支援している。

悩むWeb担当者のイラストWeb担当者

『検索順位は落ちていないのに、なぜかアクセスだけが減っている…。うちのSEO、何かやらかしたんだろうか』

こういった疑問に答えます。

本記事では、自社サイトの検索流入が減り始めていて、その理由と次の一手を探している経営者・マーケティング責任者の方に向けて書いています。

結論から言うと、順位が守れているのに流入だけが減っているなら、それはSEOに失敗したからではない可能性が高いです。目減りしているのは「1位という席そのものの価値」のほうかもしれません。

つまり、見るべき指標が変わったという話です。「何位か」だけでなく「引用されているか」も見る。この一列を足すところから始めるのがよいかなと思います。

この記事の要点

  • 検索1位でも、実測CTRが予測を大きく下回るケースが出ている(条件と数値は本文で)
  • 引用されればある程度は取り返せるが、AIによる概要が無かった頃の水準には戻らない
  • だから結論は「引用されれば勝てる」ではなく、「1つの検索窓に依存する構造そのものを見直す」

今日は動画の作り方ではなく、その手前にある「何を測り、どこに予算を置くか」の話をします。

結論:順位は落ちていない。落ちたのは「1位の席」の価値

数字から入ります。Ahrefsの調査(2026年6月時点のデータ、2026年7月発表)によると、日本市場で、AIによる概要(AI Overviews)が表示される情報収集型キーワードにおいて、検索1位の実測CTRは、順位から予測されるCTRより62.7%低くなっています。

ここで言う「予測CTR」とは、その掲載順位なら通常どれくらいクリックされるはずか、という想定値のことです。

順位から予測されるCTRが24.1%であるのに対し、実測は9.0%。つまりこの条件(日本・AIによる概要あり・情報収集型)で1位を取れていても、その順位から想定されるクリックの6割超が発生していない、ということです。

ここで注意したいのは、「クリックが62.7%減った」と読むのは誤りだということ。前年比の減少率ではなく、順位から予測される数値と実測との乖離を指しています。

そして、この乖離は広がっています。同じ調査で2025年12月時点は-38.0%だったので、半年で24.7ポイント悪化。米国はさらに厳しく、同じ期間に-58.0%から-68.8%へ拡大しており、日本より6.1ポイント大きい乖離です。

「検索が全部そうなった」という話ではない

とはいえ、検索のすべてで同じことが起きているわけではありません。条件は3つ揃っています。①日本市場であること ②AIによる概要が表示されること ③情報収集型キーワードであること。

なお同じ調査では、AIによる概要が表示されるキーワードの99.2%が情報収集型だとされています。「〜とは」「〜 方法」「〜 選び方」といった検索ですね。

一方で指名検索や「◯◯ 料金」のような、行動に近いキーワードは事情が違う可能性があります。正確に言うなら「検索が終わった」ではなく「情報収集型の1位の価値が下がった」です。ここを混ぜて語ると、社内説明を間違えます。

AI要約を見た人の26%は、そのまま検索を終えている

では、実際のユーザー行動はどうなっているか。米国のPew Research Centerが2025年7月に公表した調査(データは2025年3月)が参考になります。米国成人900人超の実際のブラウジングを追跡し、Google検索68,879件を分析。うち12,593件でAI要約が表示されていました。

なお、この調査でいう「AI要約」はAIによる概要のことです。以下は調査の表記に合わせます。結果はこうです。

  • AI要約に遭遇したユーザーが検索結果のリンクをクリックしたのは8%。AI要約がない場合は15%
  • AI要約の中に置かれたリンクをクリックしたのは、わずか1%
  • AI要約があるページで、そのままセッションを終えた人は26%(ない場合は16%)

3つ目がいちばん重い数字かなと思います。クリック先が他社サイトに移ったのではなく、要約を読んでそこで検索行動そのものを終える人が増えている。奪い合いの前に、パイが縮んでいるということです。

なお、この調査で引用元として多かったのはWikipedia・YouTube・Redditでした。米国のデータをそのまま日本に当てはめることはできませんが、先ほどのAhrefsの数値と方向は一致しています。

『いやいや、Googleは減っていないと言ってるでしょ』→ 主張はあるが、裏付けは非公開

ここは先に置いておきます。Googleは2025年8月、検索担当VPのLiz Reid氏の名前で「AIによる検索はより多くの検索と質の高いクリックをもたらしている」と題した公式ブログを公開しています。

主張は2つ。Googleからサイトへの総オーガニッククリック量は前年比で概ね安定していること。そして「quality clicks」——Googleの説明では、クリック後すぐに検索結果へ戻らないクリックのこと——はわずかに増えていること。

この主張が存在することは、事実として押さえておくべきです。流入が壊滅しているという話ばかり読んでいると、社内でこの反論を出されたときに足元をすくわれます。

そのうえで2つ。1つは、裏付けデータが公開されておらず外部から検証できないこと。もう1つは、本記事が挙げる第三者データ3件が、いずれも同じ方向を指していることです。

どちらが正しいかを、僕たちが断定することはできません。ただ、意思決定をする立場なら、自社のSearch Consoleの数字を見にいくのが一番早いですよね。そのやり方は後半で用意しました。

引用されても、AIによる概要が無かった頃には戻らない

「AI検索対策とは引用されることだ」という整理の仕方があります。引用されれば勝てる、と。ただ、データを見るとそう単純ではありません。

Seer Interactiveの調査(2026年更新版、調査期間は2024年6月〜2025年9月)は、3,119の情報収集型クエリ、42組織、オーガニック2,510万インプレッションを分析したものです。日本市場に限定した調査ではない点は、あらかじめ補足しておきます。分かったことは3つ。

①AIによる概要が表示される情報収集型クエリのオーガニックCTRは、表示されないクエリと比べて61%低い(Ahrefsの62.7%は「予測値との乖離」、こちらは「AIによる概要が出ないクエリとの比較」。別の測り方なので並べられません)

②AIによる概要に引用されたブランドは、引用されないブランドより約35%多くオーガニッククリックを獲得している

③ただし引用されたページでも、AIによる概要が表示されない検索結果ページ(SERP)の水準には38%届かない

②だけを取り出せば「引用されれば勝てる」に見えます。とはいえ、③を並べると話が変わりますよね。

引用は、失った分を取り返す手段ではありません。傷を浅くする手段です。ベストを尽くして引用されたとしても、AIによる概要が出る前の水準には戻らない。これが正確な形かなと思います。

なお、この3つの数字の出典はSeer Interactiveの調査です。Ahrefsの調査と混同されやすいので、社内共有の際は出典をご確認ください。

だから、KPIと予算の置き場所を変える

3つの調査から導かれる結論はシンプルです。1つの検索窓の中で順位を競う、という前提そのものを見直す。

順位を上げる努力が無駄だという話ではありません。1位が悪い席になったわけでもない。ただ、その席から得られるものが目減りしている以上、同じ予算を同じ場所に置き続ける根拠は弱くなっています。

そこで考えたいのが、顧客との接点を分散させることです。検索窓が1つしかなかった頃は、そこで1位を取るのが最短ルートでした。いまは、生成AIに質問する人、YouTubeで調べる人、SNSで探す人に分かれてきている——これは僕たちの実感で、統計として示せるものではありません。

なお、先ほどのPewの調査でAI要約の引用元上位にYouTubeが入っていたのは、ユーザーの検索先ではなく「AIが参照する情報源」の話です。別の事象ですが、検索結果ページ以外に情報の流れができている点では地続きかなと思います。

僕たちが動画やYouTubeという入口を勧めているのも、映像がおしゃれだからではありません。1つの検索窓に依存した集客構造を、別の場所にも分けておくためです。

もちろん、動画を出せばAIに引用されるという因果は検証されていないので、そこは断定しません。ここで言っているのは、入口の数を1つから増やすという素朴な話です。

今日からのアクションプラン:測り方と説明の仕方を変える

では、具体的に何をするか。動画の作り方ではなく、測り方と予算配分の話を5つ。

①「順位は横ばい、CTRだけ低下」のキーワードを洗い出す

Search Consoleを開いて、直近と12か月前を比較すればOKです。

見るのは、平均掲載順位がほぼ変わっていないのに、CTRだけが落ちているキーワードです。順位まで落ちているものや、ある日を境に急落しているものは、コアアップデートや計測の事故など別の原因を先に疑うべきなので、別枠にしてください。

なお、Search Consoleの画面上では、AIによる概要の影響だけを切り分けて見ることはできません。だからこそ、順位とCTRの動きの差から間接的に読み取ります。

優先して見るのは「〜とは」「〜 方法」「〜 選び方」といった情報収集型です。AIによる概要が表示されるキーワードの99.2%が情報収集型なので、影響が出ているなら、まずここに現れやすいはずです。

②上位5件を、手で検索して記録する

洗い出したうちの上位5件を、実際にGoogleで検索してみてください。見るのは2つだけです。

  • AIによる概要が表示されるか
  • その引用元に自社が入っているか

これをスプレッドシートに記録しておくべし。5行で終わります。

地味ですが、これだけで「なんとなく減っている気がする」が数字になります。

③CTRが落ちたテーマで、動画を1本出す

②で「AIによる概要が出ていて、自社は引用されていない」と分かったテーマがあるはずです。そこに、テキスト記事の焼き直しをもう1本足すのではなく、動画を1本出してみる。同じテーマを、別の入口にも置いておくということですね。

そしてその1本は、「出して終わり」にしないほうがいいです。同じ動画を商談前の事前共有や採用候補者への説明にも回せば、検索の入口が、そのまま社内に残る説明資料になります。

なお、その動画をどう整えるかの具体的な手順は、別記事「AI検索に引用されるYouTube。整えるべきは映像ではなくテキスト」で書いたので、本記事では触れません。

④月1回、生成AIに同じ質問を3つ投げる

順位計測に代わる、新しい定点観測です。見込み客が打ちそうな質問を3つ決めて、ChatGPTなどの生成AIに毎月同じ文言で投げ、自社名が出たかどうかを○×で記録する。それだけです。

5分で終わります。生成AIの回答は毎回変わるので、意味があるのは1回の結果ではなく、半年後に並べて見たときの推移のほうです。

⑤経営報告の言い方を変える

最後は社内の話です。「順位が落ちました」とだけ報告すると、SEOの失敗として処理されがちです。実態がそうでない場合も担当者の責任にされやすく、打ち手の議論に進めません。

そうではなく、こう説明します。「順位は維持できています。ただし1位あたりの価値が下がっています」。そのうえで、①で洗い出したキーワードと②の記録を並べて出し、予算配分の提案を「順位を上げる」から「引用先を増やす/入口を分散する」へ振り替えます。

繰り返しですが、順位を捨てる話ではありません。順位だけを唯一のKPIにしている状態をやめる、という話です。

動画という入口から相談したい場合

「入口を分散させたほうがいいのは分かった。ただ、動画に手を出す余力があるか」。ここで止まってしまうケースは少なくないはずです。

CVOは、企業のYouTube運用、インフルエンサーマーケティング、動画編集者育成を手がける会社です。チャンネル登録者1,400万人のYouTubeチャンネル「NAS DAILY」の専属編集経験をもとに、これまでに1,000本以上のロング動画を制作してきました。VSEO(動画の検索最適化)戦略に基づくチャンネル設計から制作まで一貫して担当します。

僕たちが重視しているのは綺麗な映像ではなく、「誰に、どう届け、どう動かすか」という成果です。今回の話に沿えば、「CTRが落ちたテーマのうち、どれを動画にするか」を一緒に決めるところからですね。ご相談はお問い合わせからどうぞ。

まとめ:見る指標に「引用されているか」を足す

①日本市場で、AIによる概要が表示される情報収集型キーワードの検索1位は、実測CTRが予測より62.7%低い(Ahrefsの調査・2026年6月時点のデータ)

②この乖離は半年で24.7ポイント広がっている。水準では米国のほうが厳しいが、広がる速さは日本のほうが速い(日本24.7pt/米国10.8pt)

③引用されたブランドは、引用されないブランドより約35%多くクリックを得ているが、それでもAIによる概要が表示されない検索結果ページの水準には38%届かない(Seer Interactiveの調査・日本限定ではない)

④だからKPIに「引用されているか」を加え、順位を唯一の指標にするのをやめる。そのうえで入口そのものを分散させる

順位が落ちていないのに流入が減ったなら、SEOの失敗以外の原因を疑う価値があります。変わったものを、変わっていない指標で測り続けると打ち手を間違えますよね。

入口を増やすときも考え方は同じです。伸ばすためだけのコンテンツではなく、会社の知識を残し、検索でも商談でも採用でも使い回せる形にしておく。そうすれば検索の環境がまた変わっても、作ったものは手元に残ります。

まずはSearch Consoleを開いて、12か月前と比べてみてください。順位は横ばいでCTRだけ落ちているキーワードが5つ見つかれば、今日の作業はそれで十分かなと思います。参考にどうぞ。

よくある質問

検索順位は落ちていないのに、アクセスだけ減っているのはなぜですか?

順位そのものではなく、「1位という席から得られるクリック量」が目減りしている可能性があります。Ahrefsの調査(2026年6月時点のデータ)によると、日本市場で、AIによる概要が表示される情報収集型キーワードにおいて、検索1位の実測CTRは順位から予測されるCTRより62.7%低くなっています。予測CTRが24.1%に対し、実測は9.0%です。

順位が守れていても、そこから流れてくる量が変わっているということですね。なお、これは「AIによる概要が表示される情報収集型キーワード」に限った数字で、指名検索など行動に近いキーワードは事情が異なる可能性があります。

AIによる概要による流入減は、Search Consoleで確認できますか?

Search Consoleの画面上では、AIによる概要の影響だけを切り分けて見ることはできません。そのかわり、間接的に読み取る方法があります。直近と12か月前を比較し、平均掲載順位がほぼ変わっていないのにCTRだけが落ちているキーワードを洗い出すことです。優先して見るのは「〜とは」「〜 方法」「〜 選び方」といった情報収集型で、Ahrefsの調査ではAIによる概要が表示されるキーワードの99.2%が情報収集型とされています。

そのうえで上位5件を実際にGoogleで検索し、AIによる概要が出ているか、その引用元に自社が入っているかを記録すると、推測が観測に変わります。なお、順位そのものが落ちている場合や、ある日を境に急落している場合は、コアアップデートや計測の事故など別の原因を先に疑うのがおすすめです。

AIによる概要に引用されれば、減ったアクセスは元に戻りますか?

戻り切らない、というのが調査から読み取れる答えです。Seer Interactiveの調査(日本市場に限定した調査ではありません)によると、AIによる概要に引用されたブランドは、引用されないブランドより約35%多くオーガニッククリックを獲得しています。ただし同じ調査で、引用されたページであっても、AIによる概要が表示されない検索結果ページの水準には38%届かないことが示されています。

つまり引用は、失った分を取り返す手段ではなく、傷を浅くする手段です。またPew Research Centerの調査では、AI要約の中に置かれたリンクがクリックされたのはわずか1%でした。引用を狙う価値はありますが、それだけで元の水準に戻る前提で計画を立てるのは危ういかなと思います。

Googleは「クリックは減っていない」と言っていますが、どちらが正しいのですか?

どちらが正しいかを断定できる材料は、現時点では公開されていません。Googleは2025年8月、検索担当VPのLiz Reid氏の名前で「AIによる検索はより多くの検索と質の高いクリックをもたらしている」と題した公式ブログを公開し、Googleからサイトへの総オーガニッククリック量は前年比で概ね安定しており、quality clicks(クリック後すぐに戻らないクリック)はわずかに増えていると主張しています。

ただし、その裏付けとなるデータは公開されていません。一方で、Ahrefs、Pew Research Center、Seer Interactiveという第三者の実測データは、いずれも同じ方向を指しています。判断を急ぐより、自社のSearch Consoleで「順位は横ばいなのにCTRだけ落ちているキーワード」を12か月前と比較して確認するほうが、確度の高い材料になります。

検索順位の代わりに、何を指標にすればいいですか?

「引用されているか」を指標に加えるのがおすすめです。具体的には2つあります。1つ目は、Search Consoleで平均掲載順位が横ばいなのにCTRだけ落ちているキーワードを洗い出し、その上位5件を実際にGoogleで検索して、AIによる概要が表示されるか、その引用元に自社が入っているかをスプレッドシートに記録することです。

2つ目は、見込み客が打ちそうな質問を3つ固定し、月1回ChatGPTなどの生成AIに同じ文言で投げて、自社名が出たかを○×で記録することです。どちらも短時間で終わり、順位計測に代わる定点観測になります。そのうえで、予算配分を「順位を上げる」から「引用先を増やす/入口を分散する」へ振り替えていく形かなと思います。

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