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動画編集で僕が活用しているAI【AIだけで100点は作れません】
動画編集の担当者
『動画編集に使えるAIツールが多すぎて、結局どれを使えばいいのか分かりません。全部AIに任せれば、編集はもう終わるんでしょうか…』
こういった疑問に答えます。
本記事では、自社で動画を作っている担当者の方と、これから動画編集を仕事にしようとしている方に向けて書いています。ツールの機能比較ではありません。僕が2026年9月現在、実際に毎日使っているものだけを書きます。
先に結論です。この世に出ているほぼ全てのAIツールを触りました。そのうえで言うと、AIだけで100点の動画は作れません。それでも、僕はAIで時短をしています。
AIだけで完結するのは、ごく簡単なショート動画までです。だから今日持ち帰ってほしいのは、どのツールが優れているかではなく、AIの線がいまどこに引かれているかのほうです。線が分かれば、探すのをやめて手を動かせます。
この記事の要点
- AIだけで100点の動画は作れない
- 文字起こしだけで僕は1本あたり約2時間縮んだ
- 自動化しきれない理由は、やり方が人それぞれ違うから
結論:編集そのものに使っているAIは、3つだけです
編集ソフトの中で僕がAIに任せているのは、3つだけです。
①自動カット
②自動文字起こし
③誤字脱字チェック
先に費用の話をしておくと、①と②はPremiere Proの中にある機能です。Premiere Proを使っているなら、AIのために追加で契約するものはありません。別に要るのは③で使うChatGPTだけです。
順に書きます。
①自動カット:主に無音を一瞬で切るために使う
使っているのはPremiere Proの自動カット機能です。Premiere Proは動画編集ソフトで、仕事の現場で広く使われているものだと思ってもらえれば十分です。
僕の使い方は限定的で、主に無音を一瞬で切るために使っています。人が喋る動画には、言葉と言葉のあいだに無音が必ず挟まります。そこを手で1つずつ探して切っていくと、それだけで何十分も溶ける。この工程はAIのほうが確実に速いです。
やり方そのものは調べれば出てくるので、ここでは書きません。大事なのは手順ではなく、何に使うかを絞ることのほうです。
②自動文字起こし:精度は70%程度。それでも1本で約2時間縮む
使っているのはPremiere Proの自動文字起こし機能です。喋った内容を自動で文字にしてくれるので、それをテロップの元にします。
正直に書くと、僕が使っている実感で、変換の精度は現状70%程度です。固有名詞は化けますし、言い淀みもそのまま拾います。この70%はあくまで文字起こしの変換精度の話で、AI編集全体の出来のことではありません。
それでも毎回使います。理由は単純で、残りの30%を直すほうが、ゼロから全部打つより圧倒的に速いからです。僕の実感で、1本あたり約2時間は短縮できています。
2時間です。この記事でいちばん現実的な数字はここです。1本で2時間縮むなら、月に4本作る会社では月8時間が浮く計算になります。
③誤字脱字チェック:書き出したテキストをChatGPTに読ませる
テロップを入れ終わったあと、Premiere Proからテキストファイルとして書き出します。それをChatGPTに読み込ませて、誤字脱字を見てもらう。やっているのはそれだけです。
自分で打った文字は、自分の目では滑ります。頭が正しい文を先に読んでしまうからです。ここは人より機械のほうが向いています。
ショート動画の自動生成ツールは、僕には合いませんでした
ショート動画を自動で切り出してくれるツールも各種試しました。形にはなります。ただ結論としては、今のところ手動のほうが速いです。
品質の話ではなく、速度の話です。僕の編集速度のほうが速いので、生成された結果を直す時間を足すと、最初から自分で組んだほうが早く終わります。とはいえこれは僕の場合の話です。編集に慣れていない人ほど、自動生成ツールの価値は上がります。線がどこに引かれるかは、使う人の速度で変わる、ということですね。
編集の外で有料プランを契約しているAIツールは5つ。用途がすべて違うので1つにまとめられません
ここからは編集の外側の話です。動画は編集だけで出来上がるものではないので、実は使っている本数はこちらのほうが多いです。
①Gemini
②ChatGPT
③Claude
④Manus
⑤Typeless
ChatGPTは先ほどの3つにも入っていました。同じ契約を用途違いで使っているので、道具の数でいえば全部で6つです。
Gemini:撮影地の情報を短時間で掴む
Geminiは、土地の情報の要約と検索に使っています。僕は海外の旅動画を編集することが多く、撮影地がどういう場所で何が名物なのかを短時間で掴む必要があります。ここはGeminiが速いです。
ChatGPT:画像制作とコードを書かせる
ChatGPTは、画像制作とコードを書かせる用途です。このページCVOの修正コーディングもChatGPTに書かせていますし、Instagramの投稿画像のデザイン出しにも使っています。出てきたデザインはCanvaで再編集して仕上げる形です。
Claude:思考整理に全部叩き込む
Claudeは、完全に思考整理用です。有料プランを使っていて、自分の思考をすべて叩き込んでいます。答えをもらうためというより、頭の中にあるものを外に出して並べ直すために使っている、という感覚に近いです。
Manus:自分の発信の案出し
Manusは、自分のコンテンツ発信の案出しに使っています。
Typeless:キーボードの音声入力
Typelessは、キーボードの音声入力です。これはかなり革命的でした。テロップも基本は声から入れていますし、このブログも、思考をまとめる段階は全部声で吹き込んでいます。
5つとも得意分野が違うので、1つにまとめることはできません。同じ質問を投げても、返ってくるものの質が用途ごとに変わります。だから僕は、道具箱を5つ持っている状態にしています。
なぜAIで動画編集の完全自動化ができないのか:やり方が人それぞれ違うから
ここが今日の本題です。
結論から書くと、やり方が人それぞれ違うからです。
僕の実例を1つ出します。とあるクライアント向けに、編集の自動化ツールを一式自作しました。素材を入れたら形になるところまで組んだものです。作って3ヶ月経ちますが、今でも修正指示を常に出している状態です。
動かないわけではありません。動くけれど、毎回どこかがこちらの意図とずれる。だから直す。それが3ヶ月続いています。
理由ははっきりしています。AIは作業はできても、感情が分かりません。完璧に決まった型のルールがないと厳しい、というのが実際に組んでみた僕の結論です。
「ここは間を残す」「ここで音を上げる」といった判断は、ルールとして書き出せているようで、書き出せていません。同じ素材を10人の編集者に渡せば、10通りの動画が出てきます。その差が生まれる場所こそ、見ている人の感情が動く場所です。型に落とせないものが、いちばん効いている。
とはいえ、僕はこの先もずっと同じだとは思っていません。作業の側は、これからどんどんAIに寄っていきます。おそらくいつか、AIが全て編集できる日も来ます。今日書いているのは今の線であって、動かない壁の話ではありません。
Adobe公式ヘルプも、同じ場所に線を引いています【判断するのは編集者】
これは僕の実感だけの話ではありません。
Adobe公式ヘルプ「Premiere AI Assistant(ベータ版)」では、この機能について、繰り返しの編集作業に費やす時間を減らし、クリエイティブな判断により多くの時間を使えるようにするもの、と書かれています。できることとして挙げられているのは、素材の整理、撮影素材の下準備、そして最初の編集の組み立てです。
そのうえで、編集者が常にコントロールを持ち、判断を下す、アシスタントは背後の複数工程の作業を担当する、と書かれています。出力についても、完全に編集可能なPremiereシーケンスであり、ブラックボックスに閉じ込められたり隠されたりしているものは何もない、だから調整し直したり、カットし直したり、脇に置いたりできる、とあります。要するに、AIが組んだ結果がそのままタイムラインに並んで出てくるので、あとから自由に組み替えられるということです。
さらに同ヘルプは、この機能が正式公開前の試験段階であることを踏まえて、今のところクライアント案件で使うことは推奨しない、プロジェクトの複製で作業するか、新規プロジェクトに新しいメディアを読み込んで試すこと、失っては困る作業でテストしないこと、とまで書いています。ただしこちらは試験段階だからの注意であって、AIの能力の限界とは別の話です。
僕が注目しているのは前半のほうです。編集ソフトを作っている会社自身が、AIがやるのは繰り返し作業と最初の編集の組み立てまでで、判断するのは編集者だと書いている。僕が現場で感じている線と、ほぼ同じ場所です。
つまり、AIを入れる場所は「作業」の側です。感情を扱う側ではありません。この分け方を持っておくと、新しいツールが出てきたときに、自分の現場で使う場所があるのかどうかを判断しやすくなります。
『いやいや、AIを使っていないのはうちだけでは』62%は、使っているか使い始めるところです
そう思っている担当者の方は多いです。ここは数字を1つだけ置きます。
Wistiaの「State of Video Report」2026年版があります。マーケター約1,000人への調査と、Wistiaにアップロードされた1,300万本を超える動画の分析をまとめたものです。
同レポートでは、62%のチームが動画のワークフローで既にAIを使っているか、まもなく使い始める予定だと報告されています。半数を超えるチームが、AI関連の支出を2026年に増やす予定だとも書かれています。
ただし用途には偏りがあって、同レポートでは、企画づくりや台本づくりといった前工程が中心だとされています。
6割超が動き出しているのは事実です。けれど、使われている場所は編集の手前が中心で、編集そのものを丸ごと任せている状態ではありません。だから、焦って全工程をAIに置き換える必要はありません。先に置くべきなのは、僕が挙げた3つの作業のほうです。
これからの動画編集者は「動画を作れる人」になります
ここまでの話をまとめると、AIに渡せるのは作業で、渡せないのは感情です。そしてAIが作業を引き受けるほど、作業ができることの価値は下がっていきます。
だから、動画編集者は「動画を編集できる人」から「動画を作れる人」へシフトしていきます。編集できる人は、切って、並べて、テロップを入れられる人です。作れる人は、誰に何をどう見せれば心が動くかを決められる人です。この2つは、これから完全に別の仕事になります。
僕は2026年8月に公開した自分のYouTube動画の概要欄に、こう書きました。「AI時代に動画編集者は必要なのか。その答えは必要だと僕は思います。それを考えられるのは未だ人間だけであり、AIは綺麗な60点は出せても、心を震わせる120点は出せません。」
冒頭で書いた100点は、この120点のほうです。60点と120点のあいだにあるものが、いま人に残っている領域です。企業の動画で言えば、同じ内容を話していても、どこで間を置くか、どの表情を残すかで伝わり方が変わる。そこを決める仕事が、これから中心になります。
当ブログの関連記事:AIと人の線を、どの角度から見た記事か
AIと動画の話は、これまでにも角度を変えて書いてきました。整理しておきます。
内製化の記事が体制の話、今日はその中身、1本を作るときに何をAIに渡すかの話です。
今日のアクション:文字起こしだけAIに渡して、直した時間を測る
やることは1つです。
次に作る動画で、文字起こしだけをAIに任せてください。そして、出てきたテキストを直すのにかかった時間をメモしておく。それだけです。
比べる相手は、自分が手で全部打ったときの時間です。その差が、あなたの現場でのAIの取り分になります。僕の場合は1本で約2時間でした。人によっては30分かもしれないし、4時間かもしれません。
大事なのは、この数字を自分で1回出しておくことです。数字が出れば、次に新しいツールの話が来たときに、導入するかどうかを感覚ではなく時間で判断できます。ツールを探し続けるより、1回測るほうが早いです。
僕たちCVOは、企業のYouTube運用を、チャンネルの設計から制作まで一緒にやっています。どこをAIに渡してどこを人が持つかの線引きも含めて相談したい場合は、お問い合わせからどうぞ。
まとめ:AIに渡すのは作業、持っておくのは感情です
まとめます。
①編集そのものに使っているAIは、自動カット・自動文字起こし・誤字脱字チェックの3つ
②文字起こしの変換精度は僕の実感で70%程度。それでも1本あたり約2時間縮んだ
③完全自動化ができないのは、やり方が人それぞれ違うから。型に落とせない判断が残る
AIツールを探し続けている時間は、動画を1本も増やしません。線が分かれば、少なくとも当てもなく探し続ける時間は減ります。今日書いた線は、作業か、感情か。それだけです。
そして繰り返しですが、これは2026年9月時点の線です。来年には別の場所に引き直しているかもしれません。だからこそ、ツールの名前を覚えるより、自分の作業のどこが何分縮んだかを測っておくほうが長く使えます。
まずは次の1本で、文字起こしにかかった時間を測るところから。参考にどうぞ。
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