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YouTubeのAI開示は必要?【AIラベルが付く基準は1つだけです】
広報担当者
『編集でAIのナレーションとAI生成の背景を使いました。アップロード画面にAIの開示欄があるんですが、はいにすると「AIで作った動画」と表示されて会社の印象が悪くならないでしょうか。そもそも自分の動画がどっちなのか分かりません…』
こういった疑問に答えます。
本記事では、自社のYouTubeで編集にAIを使い始めた経営者・広報・マーケティング担当の方に向けて書いています。AIナレーション、AI生成の背景、自動文字起こしのテロップ。どこまでが開示の対象なのか、という話です。
先に結論を書きます。YouTubeのAI開示が要るかどうかは、AIを使ったかどうかでは決まりません。実際には起きていないことを、実際に起きたように見せているかどうかで決まります。この一文さえ持ち帰れば、自社の動画はその場で判定できます。
アップロード画面の[属性]セクションで目にする[AIの使用]という項目が、この開示の設定欄です。[はい]が要るのは、このあと挙げる3つの類型に当たる動画です。
そして、この判定はすぐに終わります。自社の直近の動画を1本開いて、このあと挙げる、開示が必要な3つのコンテンツに当たるかを見るだけです。今日のアクションはここです。
この記事の要点
- 開示の要否は、AIを使ったかどうかでは決まらない
- 基準は、起きていないことを起きたように見せたか
- 写実的なAIは申告が必要。黙っていても自動で付く
結論:YouTubeのAI開示は、AIの使用ではなく「視聴者が誤解するか」で決まります
判定の順番を先に置きます。見るのは3つだけです。
①その動画に、実在の人物が実際には発言または行動していないことを、発言または行動しているように見せている場面があるか
②実際の出来事や場所の映像を改変している場面があるか
③実際には起きていない場面が、現実のように見えている場面があるか
この3つが、YouTubeヘルプの「生成AIコンテンツの使用に関する開示」で、開示が必要なコンテンツとして挙げられているものです。旧題は「改変コンテンツまたは合成コンテンツの使用に関する開示」でした。まずは自社の動画をこの3つに当ててみて、どれにも当たらなければ開示は不要、と判断していきます。当てはめに迷う動画が出てきたら、実際のアップロード画面と最新のヘルプで確かめてください。
見てのとおり、どの項目にも「AIを使ったか」という条件は入っていません。判定しているのは、視聴者が現実だと誤解するかどうかだけです。ここが分かると、迷いはかなり減ります。
なぜ今この話が必要なのか:申告しなくてもラベルが付くようになりました
以前は、開示するかどうかはクリエイターの申告にかかっていました。この仕組み自体は、YouTube公式ブログ日本語版「改変または合成されたコンテンツをクリエイターが開示するための仕組み」で2024年3月に案内されたものです。
ここが2026年に変わりました。YouTube公式ブログが2026年5月に公開した「Improving AI labels for viewers and creators」では、AI生成コンテンツを識別するための新しい内部シグナルの運用を開始したと書かれています。クリエイターの申告に頼らず、YouTube側で見分けるための材料が増えたということですね。そして、クリエイターがAIの使用を申告しなくても、システムが写実性の高いAI利用を検出した場合、YouTubeが自動的にラベルを付与するとされています。
ラベルの見え方も変わりました。同ブログでは、写実的で意味のある改変・生成が行われたコンテンツのラベルは、より目立つ位置に移動したと書かれています。長尺はプレーヤーの直下、ショートは映像の上にオーバーレイで表示されます。一方、写実的とまではいえない改変や軽微な加工にとどまる場合のラベルは、位置が変わらず、引き続き動画の説明文にあたる概要欄の展開部分に表示されます。ここで動いたのは、すでに付いたラベルの見え方だけです。開示が要るか要らないかの線引きそのものは変わっていません。

つまり「黙っていれば分からない」という前提が、2026年5月に消えました。同ブログでは、写実的なAIを使った場合の手動での申告義務は引き続き存在するとされています。自動で付くようになったから申告しなくていい、ではありません。自分で申告するか、システムに判定されるか。3類型に当たる写実的な映像を作るなら、選べるのはこの2つだけです。
なお、同ブログでは、自動判定に誤りがあると考える場合、クリエイターはYouTube Studioで開示ステータスを更新できるとされています。付けられて終わりではありません。
開示しなかった場合の扱いも決まっています。YouTubeヘルプの「生成AIコンテンツの使用に関する開示」では、繰り返し意図的に開示を怠る場合、YouTubeによるラベルの手動適用や、コンテンツの削除、YouTubeパートナープログラム(YouTubeの収益化プログラム)への参加停止などのペナルティが科されることがあるとされています。
AI開示が必要な3類型と、開示が不要なもの【一覧表】
線引きの本体です。表にします。中身はすべてYouTubeヘルプの「生成AIコンテンツの使用に関する開示」に書かれているものです。左の列が、ヘルプで「リアルなコンテンツや意味的な変更が行われたコンテンツ」と呼ばれている、開示が必要なものです。右の列がそうでないものです。左右の項目は上下で対応しているわけではなく、それぞれ独立した3項目として読んでください。
右側の「軽微な編集」は、言葉だけだと幅が広く見えます。同ヘルプでは、主に見た目を良くすることが目的で、実際に何が起きたかについて視聴者に誤解を与えるようなコンテンツ改変を含まない編集、と定義されています。目的が見栄えで、事実関係を動かしていないなら軽微な編集です。
右下の項目も企業にとっては大きいです。台本の作成、アイデア出し、自動字幕起こしのように、作業をサポートする目的で生成AIを使ったコンテンツは開示が不要と明記されています。制作の裏側でAIを使うことと、映像で嘘をつくことは別だ、という整理になっています。
AIナレーション・AI背景・自動字幕は?企業の動画でよくある5ケースで判定します
抽象的なままだと使えないので、現場でよく出てくるものを順番に判定します。判定の質問は毎回同じです。実際には起きていないことを、起きたように見せているか。
①AIナレーション:実在の人に、言っていないことを言わせたときだけです
合成音声で自社サービスの説明を読み上げる。この場合、画面に実在の人物が映って喋っているわけではなく、誰かが言っていないことを言ったように見せてもいません。ヘルプに合成音声そのものを名指しした記載はありませんが、3類型に当てて読むかぎり、どれにも当たりません。
ただし、実在の人物の声を再現した音声で、その人が実際には言っていない内容を喋らせるなら話が変わります。これは1つ目の類型そのものです。自社の社長の声を合成して原稿を読ませる、という使い方をするなら開示の対象になります。
②AI生成の背景・イラスト:分かれ目はイラストか写実かではありません
明らかにイラストだと分かる背景や、図解として作ったAI画像。見た人が現実の映像だとは受け取らないので、非現実的なコンテンツとして読むのが自然です。開示は不要と判断できます。
一方、実在するオフィスや店舗の写真のように見えるAI生成映像を、自社の様子として見せるなら別です。実際には起きていない場面が現実のように見えるコンテンツに当たります。イラストか写実かではなく、視聴者が「これは実際の映像だ」と受け取るかどうかが分かれ目です。
③自動文字起こしのテロップ:作業のサポートなので不要です
YouTubeヘルプの「生成AIコンテンツの使用に関する開示」では、自動字幕起こしは作業をサポートする目的の使用として例示されています。開示は不要です。
④色補正・明るさ調整・不要部分のカット:目的が見栄えなら不要です
色補正、明るさの調整、間を詰めるためのカット。目的が見栄えで、何が起きたかについて誤解を与える改変を含んでいないなら、軽微な編集に当たります。開示は不要です。
ただしカットだけは線を意識してください。発言の順番を入れ替える、前後を落として発言の意味が変わる。ここまで来ると、見栄えの調整ではなく実際の出来事の改変です。切る前に「これは何が起きたかを変えているか」を一度だけ自問すれば十分です。
⑤AIで作った台本:ヘルプに明記されていて、不要です
これも同じヘルプに、台本の作成として明記されています。開示は不要です。
判定できないもの:オートダビング(自動吹き替え)
そして、判定できないものも書いておきます。オートダビングが、この「AIの使用」の開示の対象になるかどうかは、YouTubeヘルプの「生成AIコンテンツの使用に関する開示」の記載からは読み取れませんでした。他人の言葉を翻訳して別の声に載せる仕組みなので気にはなりますが、確認できていないことを断定はしません。機能そのものについては当ブログのYouTubeで多言語化する方法【オートダビングで解決します】で扱っています。使っている場合は、実際のアップロード画面と最新のヘルプで確かめてください。
『いやいや、ラベルが付いたら手抜き動画だと思われるでしょ』本当に重いのは、黙って出すほうです
ここが、担当者がいちばん引っかかる部分です。
正直に書きます。ラベルが付いた動画が視聴者からどう受け取られるか、再生や信頼にどう影響するかについて、検証されたデータは見当たりません。だから僕たちは「印象が悪くなる」とも「むしろ好印象になる」とも言えません。そこは分からない、が正確な答えです。
そのうえで、判断軸のほうを整理します。企業の公式コンテンツで実際に問題になるのは、ラベルが付くことではありません。誤解させる映像を、黙って出すことです。実在しない現場を実際の現場のように見せた動画が、あとから指摘される。開示していない状態でシステムにラベルを付けられる。こちらのほうが、会社にとってはよほど重い。
開示は、信頼を落とす行為ではありません。誤解を防ぐための表示です。そして、ここまで見てきたとおり、企業の動画でよく使うAIは、その多くが開示の対象から外れます。対象になるのは、事実と違う映像を作ったときだけです。そのときは、堂々と開示すればいい。それだけの話です。
「AIの使用」とは?開示の設定は動画の詳細設定の中にあります
必要だと判定した場合の操作です。
YouTube Studioで動画の詳細を開き、[詳細設定を表示]を押すと、[AIの使用]という項目が出てきます。ここで、開示の要件を満たしていれば[はい]を、満たしていなければ[いいえ]を選びます。YouTubeヘルプの「生成AIコンテンツの使用に関する開示」では、この項目は[属性]セクションの[AIの使用]と案内されています。
実際の画面がこちらです。開示が必要な3つの条件が、画面にもそのまま書かれています。この記事で判定してきた3類型と同じものです。迷ったときは、この画面の3行を読み直せば足ります。

この項目は、以前は別の呼び方で案内されていました。YouTube公式ブログの日本語版が2024年3月に公開した記事のタイトルは「改変または合成されたコンテンツをクリエイターが開示するための仕組み」です。「改変または合成されたコンテンツ」という言葉で覚えている方は、同じ開示のことだと考えて構いません。画面の文言や配置は変わることがあるので、最終的には実際の画面で確認してください。
同ヘルプでは、開示すると概要欄にラベルが表示されるとされています。写実的で意味のある改変・生成に当たる場合は、前に書いたとおり、長尺ならプレーヤー直下、ショートなら映像の上に表示されます。
1つ、手間が省けるケースがあります。同ヘルプでは、YouTube自身の生成AIツールで作った場合は自動的に開示されるため、追加の開示手順は不要とされています。ただし、どの機能がこれに当たるかは追加や変更が起きる部分です。使っているツールが対象かどうかは、実際のアップロード画面と最新のヘルプで確かめてください。
当ブログの関連記事:AIと動画の話は、段階ごとに分けています
AIを動画にどう使うかは、これまでにも書いてきました。扱っている段階が違うので、整理しておきます。
多言語化は届け方の話、退職は映っている人の話でした。今日は、映像そのものが本物かどうかの話です。
今日のアクション:直近の動画を1本開いて、3類型に当てるだけです
やることは1つです。
自社のYouTubeチャンネルを開いて、直近に公開した動画を1本選んでください。そして、次の3つに当たる場面があるかを自分で見ます。実在の人物が言っていないことを言っているように見えるか。実際の出来事や場所の映像を改変しているか。実際には起きていない場面を現実のように見せているか。
どれにも当たらなければ、その動画に開示は不要です。AIナレーションを使っていても、AI背景を敷いていても、自動字幕を使っていても同じです。逆に1つでも当たるなら、アップロード画面の設定で[はい]にする。ここまでで、ほとんどの動画は判定できます。
1本やっておくと、次からは撮影と編集の段階で分かるようになります。この判定は、動画が増えるほど効いてきます。
僕たちCVOは、企業のYouTube運用を、チャンネルの設計から制作まで一緒にやっています。制作してきたロング動画は1,000本以上です。AIをどこまで使い、どこから人の手を入れるか。公式コンテンツとして何年も置いておける形にするには、この線引きが要ります。そこから一緒に考えたい場合は、お手伝いできます。ご依頼をいただいた場合は、毎月一緒に本数と内容を決めていく形です。お問い合わせからどうぞ。
まとめ:判定するのはAIの有無ではなく、誤解の有無です
まとめます。
①開示が要るかどうかは、AIを使ったかどうかでは決まらない。実際には起きていないことを起きたように見せているかで決まる
②2026年5月から、申告しなくてもYouTubeが写実性の高いAI利用を検出してラベルを付ける。ただし写実的なAIを使った場合の申告義務は、これまでどおり残っている
③台本、アイデア出し、自動字幕起こし、軽微な編集は開示が不要
AIを使うと開示が要るらしい、という理解のままだと、使うたびに手が止まります。実際に線を引いているのはそこではありません。
自社の動画が現実を歪めていないなら、開示は不要です。歪めているなら、隠さずに出す。迷う1本が出てきたら、そのときは最新のヘルプに戻る。それだけです。
ここを一度整理しておくと、AIを使うたびに止まらなくなります。何年も置いておける動画を積み上げるには、その速さがいります。まずは直近の1本を開くところから。参考にどうぞ。
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