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PRをお願いする時のインフルエンサーの選び方【見るポイントは3つ】
マーケティング担当者
『インフルエンサーにPRをお願いしたいけど、候補が3人並んだときに何で決めればいいのか分からない。登録者数と、提示された金額くらいしか比べるものがなくて…』
こういった疑問に答えます。
本記事では、インフルエンサーやクリエイターにPRを依頼しようとしている経営者・マーケティング担当・広報担当の方に向けて、誰に頼むかを決める段階の見方を書いています。
先に結論を書きます。見るポイントは3つです。
①直近10本の平均再生数
②各動画のコメントと保存数
③去年の当たり動画を、今の実力として数えない
ここに登録者数は入っていません。登録者数はあくまでただの数字で、その人がいま何人に届くのかを教えてくれないからです。
僕は登録者1,400万人の「NAS DAILY」の専属編集者として、クリエイターの横に立ってきました。同時に、インフルエンサーやYouTuberのPRプランを企業側と一緒に考える仕事もしています。受ける側と発注する側の両方を見てきた立場から書きます。
この記事の要点
- 登録者数は過去の累計。いま届く人数は平均再生数で見る
- コメントと保存数で、次の行動を起こす力を見る
- 去年の当たり動画を、今の実力として数えない
結論:見るのは登録者数ではなく、この3つです
3つは、それぞれ別の質問に答えます。
①は「何人に届くのか」。直近10本の平均再生数で見ます
②は「届いた人が動くのか」。各動画のコメントと保存数で見ます
③は「その数字はいつのものか」。過去の代表作ではなく、直近の数字で見ます
使う順番も決まっています。まず①で候補を絞り、②で最後の1人を決め、③は①と②を読むときの注意として最初から最後まで効かせます。
順番を入れ替えないでください。②から入ると、コメント欄は熱いけれど届く人数が足りない人を選んでしまいます。①だけで終わると、数は届いたのに何も起きなかった、という結果になります。
そして、この3つのどこにも登録者数は出てきません。理由を先に書きます。
なぜ登録者数だけでは決められないのか
登録者数やフォロワー数は、過去にボタンを押した人の累計です。押したあと一度も見に来ていない人も、そのまま数に残ります。解除する人のほうが少ないので、数字は基本的に減りません。
つまり登録者数は、その人が過去に集めた人の総数であって、今月その人が何人に届けられるかの数字ではありません。登録者数は過去の通知表で、平均再生数は今の通信簿です。
実際、登録者10万人で平均再生数が3,000回のチャンネルと、登録者1万人で平均8,000回のチャンネルは、どちらもふつうにあります。PRが届く人数で見れば後者のほうが多い。それでも社内で候補を並べると、前者が上に来ます。並べているのが登録者数だからです。
ここで捨てるのは登録者数そのものではありません。登録者数を判断の中心に置くのをやめる、という話です。使い道はあります。届く人数の見積もりと合わせて見ると、そのチャンネルが伸びている途中なのか、伸びきって落ち着いているのかの当たりがつきます。
では、何を中心に置くのか。ここから3つを順に書きます。
ポイント①:直近10本の平均再生数を見る
最初に見るのは、直近10本の平均再生数です。ここだけは全候補で必ず出してください。
理由はシンプルで、PRを載せた動画が届く人数に、いちばん近い数字だからです。登録者数は累計、平均再生数は現在地。依頼して1本出してもらったときに何人の画面に出るかを見積もるなら、現在地を見るしかありません。
1つだけ前提があります。平均再生数は人数の話であって、誰に届くかの話ではありません。候補を表に並べる前に、その人の視聴者が自社の客層と重なっているかで足切りをしてください。重なっていない人は、平均が何倍だろうと表に載せない。ここを飛ばして数字だけを並べると、いちばん届く人に頼んで、いちばん買わない人に届きます。
足切りを済ませた候補だけを、次の数え方で並べます。注意点は4つあります。ここを揃えないと、比べたつもりで比べられていない状態になります。
平均と中央値の両方を出す
10本のうち1本だけ跳ねていると、平均がその1本に引っ張られます。中央値も一緒に出してください。中央値とは、10本を再生数の順に並べたときに真ん中あたりに来る数字のことです。
平均と中央値が近ければ、その人は毎回安定して同じくらい届けています。平均だけが大きく高いなら、たまに跳ねるけれど普段はそこまで届いていない、ということです。
どちらが良い悪いではありません。安定して届く人は見積もりが立てやすく、跳ねる人は当たったときの上振れがあります。ただ、PRの本数が1本なら、読むのは中央値のほうです。上振れは当てにできません。
ショートとロングを分けて数える
同じチャンネルの中でも、ショート動画とロング動画では再生数の桁が変わります。混ぜて平均を出すと、実態から離れた数字になります。
数えるのは、PRを載せてもらう形式と同じ形式だけです。ロング動画の中にPRパートを入れてもらうなら、ロング動画だけで10本。ショート1本を作ってもらうなら、ショートだけで10本です。
公開から日が浅い動画は外す
公開して数日の動画は、まだ伸び切っていません。1本目に最新動画が入っていると、平均が実際より低く出ます。目安として、公開から2週間経っていない動画は数に入れず、その前の10本で数えてください。
候補全員で数え方を揃える
これがいちばん大事です。Aさんは直近10本、Bさんは直近3か月、Cさんは代表作、という数え方では比較になりません。10本なら全員10本。3か月なら全員3か月です。
そして、出した平均再生数はそのまま次の工程でも使います。金額を決めるときの土台がこの数字だからです。金額の話は後半で書きます。
ポイント②:各動画のコメントと保存数を見る
①で候補が2〜3人に絞れたら、次は各動画のコメントと保存数を見ます。ここで見極めるのは1つだけです。
その人が視聴者の感情を動かしているか、視聴者が次の行動を取れる動画を作れているか。
面白い動画や伸びる動画を作れる人は、たくさんいます。ただ、面白いだけの動画は、見られはしますが視聴者は動きません。見て、笑って、次の動画にスワイプして終わりです。
発注する側が欲しいのは、そこではありません。次の行動を起こさせる力です。だから必ずそこを見ます。
コメントは数ではなく中身を読む
コメント数だけを数えないでください。読むのは中身です。
「かわいい」「すごい」「さすが」で埋まっているのか。それとも「これ探してました」「さっそく買いました」「うちの場合はどうすればいいですか」のように、自分の状況を書き込んでいる人がいるのか。
後者が並んでいるなら、その人の発信は視聴者の中で自分ごとになっています。自分ごとになっている状態は、次の行動の一歩手前です。
コメントは批判でも増えるので、数だけ見て安心しないでください。20件しかなくても中身が濃いコメント欄のほうが、300件のスタンプより発注側には価値があります。
保存数は、あとで動くつもりの予約です
保存は、あとで見返したい、試したい、というときに押されます。その場の反応ではなく、次に何かするつもりがある人の行動です。
ただし保存数は投稿者本人のインサイトにしか出ないので、外からは数えられません。検討の段階で「直近5本のインサイトを見せていただけますか」と聞いてしまうのが早いです。出してくれるかどうか自体も材料になります。
YouTubeには保存数に当たる公開の数字がないので、YouTubeで探す場合は、コメントの中身と高評価の比率で代わりを取ってください。指標としての保存数とコメント数の詳しい見方はインフルエンサーマーケの効果測定は再生数ではない。見るべきは保存数とコメント数に書いたので、そちらをどうぞ。本記事は、起用したあとの採点ではなく、起用する前の選定として使う話に絞ります。
人が動くパターンは2つあります
ここが今日いちばん持ち帰ってほしいところです。視聴者が動くときの動き方には、2つのパターンがあります。
1つ目は、熱狂的なファンがいるパターンです。この場合、そのクリエイターが出しているというだけで人が動きます。コメント欄には商品の話より先に、その人への言及が並びます。「〇〇さんが使ってるなら間違いない」という形です。
2つ目は、熱狂的なファンがいなくても、内容に共感して動くパターンです。コメント欄に自分の悩みや状況が書き込まれていたら、こちらの型です。人ではなく、話の中身が刺さっています。
どちらが優れているという話ではありません。発注側が持ち帰るのは、型によって渡すものと頼み方が変わる、という一点です。
ファン型の人に細かい仕様の説明をびっしり頼むと、その人らしさが消えて熱が死にます。この型には、使っている事実と本人の言葉を預けたほうが動きます。
共感型の人に「使ってみました」だけをお願いすると、何も起きません。この型には、どんな場面で役に立つのか、誰が困っているものなのかを渡したほうが動きます。
候補のコメント欄を10本ぶん読めば、どちらの型かはすぐ分かります。読む前にオリエンシートを書かないでください。
過去のPR動画のコメント欄を、必ず1本は読む
もう1つ、見落とされやすい場所があります。その人が過去に受けたPR案件の動画です。
通常の動画と、PRが入った動画では、コメント欄の空気が変わることがあります。通常回は盛り上がるのに、PR回だけ急に静かになる人がいる。逆に、PR回でも「これ気になってた」「どこで買えますか」と同じ温度で反応が続く人もいます。
見たいのはこの差です。通常回で人を動かせることと、PR回で人を動かせることは別の力です。こちらが払うのは後者に対してなので、後者を確かめないまま決めないでください。
探し方は簡単で、直近の投稿をさかのぼってPR表記のついた動画を1〜2本開くだけです。1本も見つからないなら、その人にとって今回が初めてのPRになる可能性があります。それ自体は悪いことではありませんが、進め方は変わります。どう書けばファンに違和感なく届くかを、こちらから一方的に指定せず、本人の判断に預ける余白を残してください。
ポイント③:去年の当たり動画を、今の実力として数えない
3つ目は、①と②を読むときの注意です。
提案資料の1ページ目に、過去に跳ねた1本が置かれていることがあります。「◯◯万回再生の実績があります」という形です。実績としては本物ですが、その1本が今も同じだけ回っているかは別の話です。
YouTubeヘルプには、視聴者が古い動画に興味を持ち始めることはよくある、多くの視聴者は動画を時系列で見たり公開日時で見るものを決めたりしない、と書かれています。つまり古い動画が見つかること自体はふつうに起きます。
ただ、それはチャンネル全体の話であって、特定の1本が今も回り続けている証拠ではありません。そして人の実力値は変わります。ジャンルの流行も、本人の熱量も、1年あれば動きます。
だから実務としては、こうしてください。
①「◯◯万回再生の実績があります」と言われたら、それがいつの動画かを聞く
②その数字と、直近10本の平均再生数を並べる
③差が大きいときは、平均のほうを見積もりに使う
「過去最高再生数」で候補を比べるのが、いちばん危ない比べ方です。跳ねた時期がバラバラの人を、同じ表に並べることになります。
同じ理由で、直近10本の中も時系列で見てください。書き出した10本を古い順に並べて、前半5本と後半5本の平均を比べます。後半が下がっているなら、いまは下り方向に入っているサインです。1本ずつの増減ではなく5本の平均で比べるので、たまたまの上下はある程度ならされます。平均を1つの数字にしてしまうと、この向きは見えません。
上がっている途中の人も同じ見方で見つかります。後半5本のほうが高いなら、10本の平均は実力より低く出ています。伸びている人は指名が集まる前なので、条件の相談もしやすい時期です。
相手を疑えという意味ではありません。代表作を出すのは提案として自然な振る舞いです。こちらが見積もりに使う数字を、直近の平均に固定しておけばいいだけの話です。
補足:金額は、過去の平均再生数から決めます
前にも少し触れましたが、さらに触れます。インフルエンサーへのPR依頼 完全ガイド【費用の決め方とオリエンシート】で書いたとおり、金額を決めるときも見るのは平均再生数です。ポイント①で出した数字が、そのまま予算の土台になります。
そのうえで、決め方は2つあります。
まず、クリエイター本人に希望金額を聞いてください。PR案件の金額は基本的に言い値の世界なので、先に聞いてしまったほうが往復が減ります。社外に出せる範囲の予算を先に伝えて、この範囲で何ができるかを聞く形でも構いません。
そのうえで、こちらの物差しを2つ持っておきます。
1つ目は、平均再生数からの計算です。僕が見てきた範囲では、海外のクライアントは平均再生数×3円〜5円で金額を出してくることが多いです。平均10万再生の人なら、ざっくり30万円から50万円。公式に決まった料金ではなく、決め方の型の1つとして持っておいてください。
この計算が当てはまるのは、通常の動画の中に1分程度のPRパートを入れてもらう場合です。動画1本を丸ごとPRにするフル尺の依頼は、その人がその動画のすべてを案件に合わせて作ることになるので、まったく別の見積もりになります。どちらの形で頼むのかは、金額を出す前に決めてください。
2つ目は、CPAからの逆算です。CPAとは、1件の申し込みや購入を取るのに、いくらまでなら払ってよいかという上限額のことです。自社のCPAが5,000円で、この施策で30件ほしいなら、上限は15万円という考え方になります。
大事なのは、どちらも見積もりの出発点だということです。何件取れるかを約束できる計算ではありません。金額の上限を決めるための型であって、成果の予測ではない、と割り切って使ってください。
提示額が予算に合わなかったときも、単価を値切りにいかないでください。動かすのは中身のほうです。1分のPRパートに変える、本数を減らす、自社の広告やサイトへの二次利用をいったん外す。この3つは金額に直接効きます。相手の取り分を削る交渉と、頼む内容を減らす相談は別物です。
『いやいや、社内を説得するには登録者数のほうが早いんですが』
これはよく言われます。そのとおりで、稟議に「登録者50万人」と書けば一発で通るのに、「直近10本の平均再生数8,000回」と書くと説明が要ります。
そこで、どちらかにしないでください。両方書きます。
登録者数は規模感の説明として書く。その隣に、直近10本の平均再生数と中央値を並べる。そして「この施策で届く見込みは、この平均再生数のほう」と一行足す。これだけで、社内の説明はむしろ強くなります。
理由は、登録者数だけの資料は施策後に検証できないからです。50万人の人に頼んで5万回だった場合、登録者数だけ書いていると想定外に見えます。平均再生数を先に書いていれば、見込みどおりだったのか、下振れたのかを、その場で判断できます。
社内の説得が難しいのは、数字が地味だからではありません。何がどうなったら成功なのかを、発注前に決めていないからです。届く人数の見込みを先に出すことは、その一歩でもあります。
例外:立ち上げ期の人と、到達量だけを取りにいく企画
この3つが当てはまらない場面も書いておきます。
1つ目は、立ち上げ期のクリエイターに頼むときです。投稿本数が10本に満たない、数字がまだ安定していない段階では、平均再生数も中央値も判断に使えません。この段階で見るのは、コメントの中身と、返事の速さと、期日を守るかどうかです。数字が出そろっていないぶん、人としての仕事ぶりで見ます。ここで組んでおくと、その人が伸びたあとも続く関係になりやすいです。
2つ目は、発売に合わせて到達量をまとめて作る、短期の認知施策のときです。この場合はポイント①の比重が上がり、②の比重が下がります。届く人数と、届いている層が自社の客層と重なっているかで決めてください。1本で何かを動かしてもらう企画ではないので、次の行動を起こす力まで見にいく必要はありません。
逆に、この3つがいちばん効くのは、同じ人に何度も頼みたいときと、商品の説明を丁寧にしてほしいときです。
僕たちCVOは、YouTube運用、インフルエンサーマーケティング、動画編集者育成の3つを手がけています。クリエイターの選定から効果測定まで、企業側の立場で一緒に組む形でも動きます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。
まとめ:インフルエンサーは、この3つで決める
今日の話をまとめます。
①直近10本の平均再生数を見る。登録者数は過去の累計で、いま何人に届くかを教えてくれない
②各動画のコメントと保存数を見る。感情が動いているか、次の行動を起こせているかを見極める
③去年の当たり動画を、その人の今の実力として数えない。見積もりに使う数字は直近の平均に固定する
補足として、金額は過去の平均再生数から決めます。まず本人に希望金額を聞き、こちらの物差しとして平均再生数×3円〜5円と、CPAからの逆算の2つを持っておいてください。
立場を書いておきます。登録者数を見るなという話ではありません。登録者数で順番を決めるのをやめて、平均再生数で順番を決めてください。それだけで候補の並びは変わります。
今日やることは1つです。いま候補に挙がっている人の直近10本を開いて、再生数を書き出してください。平均と中央値を出して、コメント欄を上から10件読む。ここまでで、3人のうち誰に頼むかは、だいたい決まります。
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